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会議を終え、私は今日の任務へ向かう送迎の車に乗った。
いつもは補助監督と2人で乗る車だが、今日は新人教育ということで高専を卒業したばかりの子が研修として同行している。

そして本日の私担当の補助監督は、今まで1番任務を共にしたことが多いベテラン。顔馴染みを連れて行ける任務はかなり心地がいい。
車が発進し、公道を走り始めた辺りで補助監督が雑談をし始めた。


「Aさん、実はこの子、Aさんのファンなんですよ」


「うおあ、ファンですか」


「ふぁ、ファンなんてそんな!いやでもファンではあるんですけど、そんな軽い気持ちで今回の任務にいる訳じゃなくて!」


可愛らしい新人は顔を真っ赤にして首を横にブンブンと振る。どんな話題が始まるのかと思えば、これまた突拍子もない話だな。新人はモジモジと俯きながら興奮気味に続ける。


「その、Aさんに…6年前、助けてもらったんです…!それで私、補助監督を目指し始めて」


「そうなんだ。君が無事に過ごせてるから何より。過去の自分に感謝だなあ」


「たしかAさんが高専生だった頃の話なんだっけ?」


「は、はい!制服!着てました!」


「あはは、懐かし」


元来術師は人助けの職業、助けた人とその後も交流が続くことはない話では無い。が、この新人のようにまさか将来を決めてしまうような出来事に至ることはそんなにない。ポジティブに生きていられるなら尚のこと。
呪霊を怖がって、まともに生きていけない人達だっているのだから。


「この子、Aさんの補助監督になりたいって張り切ってて。至らない点もあるかと思いますけど、よろしくお願いします」


「私の方こそ、よろしくお願いします。頑張りましょうね」


「はい!」


元気のいい返事。そんなに期待の目で見られても、私はろくでなしで不真面目だ。幻滅されるのが怖い。


「(…高専生の時、か)」


私は今世でも高専に通っていた。が、同学年の人間は一人もいない寂しい学生生活だった。オマケに任務に出づっぱりだったせいでまともに高校生らしいことができていない。いや、するつもりもなかったけれど。

そもそも私は、生まれてから小学生ぐらいの歳に至る間に、前世の記憶を段々と取り戻した。その記憶のせいか、全くと言っていいほど年頃らしい行動はできていなかったと思う。

さらに言うと、前世では両親の元で高専にあがるまで暮らしていたが、今世は気づいたら孤児だったので、なんとも寂しい人生だ。

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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇‍♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時

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