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「お待ちください!」
やっとの思いで出た声は掠れていた。それでも何とか伝わるように話す。五条悟は目線をこちらにやりながら私の言葉を聞いていた。
「わ、私は大丈夫ですから。悟様。少し感情の整理が上手くいかなかっただけで、普段はこのような行動に出る子ではないのです。きちんと話をして、謝ってもらいますから、だからっ」
「だから許せって?…お前、自分が何されたか分かってんの?」
「いや!軽いジョークですよさっきのは!ほら、私達、こんなに仲良いんです!」
青ざめた女の子と無理矢理肩を組んで仲良しを演出するが、勿論五条悟の不機嫌は直らない。そりゃそうだ、誰だって分かるよ、こんな嘘。
それでもいい、とにかくここは穏便に、絶対事を荒立てず済ませたい。
「さっきのはちょっとカッとなっちゃったんですよね!?そうですよね!?」
私の圧に女の子は首を縦にブンブンと振る。よし、と思ったのもつかの間、むしろそれが五条悟の逆鱗に触れた。
「…最っ悪だよお前。助け舟出されりゃ責任逃れか?いい度胸してんじゃん、死ねよさっさと」
いやーん、そんな馬鹿な、逆効果かよ。そんな死ねとかすぐ言わないで。
内心泣きそうになりながら女の子の肩をギュッと握るも虚しく、五条悟が私を引き剥がした。そのまま私を背に女の子と向き合う。
「これはお返しなんかじゃねぇ。俺個人としてお前を殴る」
やめてバカ、それだけはしちゃダメだ。けれどもう同じ手は使えない。言葉で引き止めたって止まってはくれないだろう。どうすればいい、考えろ私。
五条悟が再び手を上げた。今度は握り拳のグーで。グーはやばい。加減によっては気絶してしまう。
「ダメ」と私が叫ぶと同時に五条悟の拳が女の子の顔目指して下ろされる、そのはずだった。
「悟、暴力沙汰は良くないよ?落ち着きな」
優しい響きで五条悟に言い聞かせながら、大きな手で暴力を阻止したのは、黒髪の大きな青年、基、夏油傑。
五条悟の腕を掴んで止めてくれたのだ。
「邪魔すんな、傑」
「何があっても、君が振るう力はそんなことに使うべきじゃない。それに、誰も望んじゃいないからね」
「でもコイツは、Aを」
「うん、でも1度落ち着くといい」
夏油傑のその一言で五条悟はフッと肩の力を抜く。「助かった」という事実に私は放心状態になりかけた。が、こうはしていられない、次の問題がある。
「(この女の子、家の人にはなんて説明すんのさ)」
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セナ - 久々に時間が空いて読みに来たらめちゃくちゃ更新進んでました(´つヮ⊂)ウオォォwwwありがとうございます!!!!また更新されるの楽しみに待ってます!!頑張って下さい!! (3月26日 18時) (レス) id: 12c663bd39 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます。出来たてから読んでいただきとても嬉しいです🥳これからも応援よろしくお願いいたします! (1月27日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 更新お疲れ様です!この作品がいつ更新されるかうきうきしながら待ってました!笑 ずっと最初の方の出来たての時から見ててめっちゃ大好きです!更新頑張ってください!! (1月26日 20時) (レス) @page12 id: c3a5fb6d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年1月26日 19時