ハッピーエンドには遠くても (ページ4)

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見慣れた道を、一人歩いていた。
いつもは無愛想なコンクリート敷きの道路が夕日で鮮やかな橙に染まっている。

この時間なら大にぎわいとまではいかずともそこそこ人がいたような記憶があるものの、今は世界から人が消えたのかと錯覚するほど静かで。

そんな静けさの中で見えた唯一の人影が、
何かを迎え入れるように両手を広げるのが見えた。

「なんで...」

「────！」

ランドセルを背負った小さい子が目の前にいる人物めがけて横を走り抜けると、思い切り抱きついた。自らの胸に顔を埋めて泣きじゃくるその子をゆっくり抱き締めると「大丈夫、大丈夫」と優しく背中を撫でる。

...ああ、そういうこと

なんの理由もなく、そのことを理解した。

あの子は、私だ。

小学校に入学したばかりで、自分が知らない全てのものが怖くて。

それでも、一番、

一番、“幸せ”だった頃の私。

「お目覚めは如何ですか」
「う、うわぁあ！？！？」