階級・甲の癸さん拾陸

744話　鬼舞辻side ページ50

その時、桜が舞い落ちてくる。



…また春だ。



春姫の居ない、春が来た。



春に出会い、



春に恋をし、



春に愛を誓い合った。



…桜の思い出。



私はお前を傷付けることしか出来なかった。



それなのに、覚えているのもいけないのではないか。



…思い出も全て、記憶の奥底に仕舞おう。



私が完璧になったら、その時は…また、お前を想わせてくれ。



お前を、私が完璧でないばかりに失ってしまった。



…そんな自分が、私は許せない。



春姫。



お前はいつでも、私の光だった。



可愛く、美しく、優しく。



誰にでも笑いかけるお前が、私はとても大切だった。



鬼舞辻「…春姫、」



少しの間だけ、待っていてくれ。



次思い出すのは…お前を想うのは…私が完璧になった時。



…その時は、



鬼舞辻「…お前の眠る、桜の木の下に…また、行こう。」



…すまない。



何もしてやれなくて。



…これからもずっと…









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愛してる、春姫。









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