階級・甲の癸さん拾陸

699話 ページ5

『…この目は生まれ付きですが、何か？』



本当は何が言いたいか分かっている。



でも僕は…鬼舞辻さん本人に言わせたいんだ。



鬼舞辻「…雨の呼吸の使い手は、隠した右目の色が青だった。

決して赤ではなかった…それなのに、何故お前の右目は、赤いんだ。」



『…知りませんよ、僕が聞きたいところです。

母も兄も妹も…みんな目の色は両方黒なのに、僕だけ赤いんですから。』



それだけじゃない。



『幼い頃は…左目の色も、髪の色も、違ったんです。』



鬼舞辻「…分からない…有り得るはずがない…」



『…そうですか。』



認めなよ。



…いや、認められるはずもないか。



有り得ない存在なんだから。



鬼舞辻「…貴様は、どうすれば私のものになる？」



『なりませんよ、人を傷付ける貴方のものになんて。

それに何より、僕はものじゃない…行動を制限されるのも大嫌いですしね。』



普段の僕なら怖がるだろうけど、今回は怖がってなんていられないから。



鬼舞辻「…貴様の周りに居る奴らを殺せば、私の元へ来るか？」



『…貴方、僕の言葉聞いてました？』



鬼舞辻「…それをしてからだな…邪魔な奴らを消さなければ、話にもならない。」



そう言って僕に背中を見せた鬼舞辻さんは…



『…待て、』



鳴女さんの血鬼術で、何処かへと行ってしまった。



『…認めたくないのも信じられないのも分かるけど…それは勘弁してくれ。』



体力使いまくってんのにさぁ…



『…最後の、頑張りどころ、だな。』

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