階級・甲の癸さん拾陸

733話　鬼舞辻side ページ39

鬼舞辻「やっと捕まえた…。」



春姫「へっ！？」



驚いた声を出す春姫を後ろから抱き締める。



春姫「あ、あのどうしたんですか、今お洗濯を…」



鬼舞辻「はあ…お前は今子どもが居るのを忘れたか？」



春姫「…あ。」



こいつは時々自分の腹の子のことを忘れては家のことをしようとする。



それだから気が気でない。



鬼舞辻「そういうことは私がする、だからお前は動くな。」



春姫「…んー、分かりました…お願いします………やっぱり少しやりたい。」



鬼舞辻「…ならば余り動かずに出来ることだけしていろ。」



春姫「はーい。」



何とも怠そうに返事をし、仕方ないと言いたげに布団へと戻っていく。



…腹の子も大きくなってきた…生まれるのもそんなに後の話ではないかもしれない。



そう思うと嬉しくなる。



鬼舞辻「…楽しみだな。」



私個人の感情で言わせれば、春姫に似た可愛らしい女の子が欲しい。



だが男の子でも…と考えて気付く。



…春姫との子であれば、私は何でも良いのかもしれない。



鬼舞辻「…ふ、」



春姫「何を笑ってるんですかー？」



鬼舞辻「何でもない。」



私には春姫しか居ないし、春姫にも私しか居ないだろう。



…そう思うくらい、そう思いたいくらい…私は、春姫に惚れ込んでいるらしい。



鬼舞辻「…楽しみだな、生まれるのが。」



春姫「…はい、とても。」



…愛おしい春姫との子。



…楽しみで、仕方がない。

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