階級・甲の癸さん拾陸

698話 ページ4

鬼舞辻「…何を言っている。」



『貴方が僕を悲しそうに見たのは、僕が貴方の知る誰かに似ていたから。

しかもその誰かと同じで…心を読むことが出来ない、何を考えているか分からない。

何より…知っている誰かに似ていた…そりゃあ驚くわけですよね。

その相手がもし鬼にしたい相手であった場合…その相手に似ている僕を鬼にしたいと思うのもおかしくない話。

…貴方は僕を見ているんじゃなく、重ねている誰かを見ているわけです。』



…何故知っているのか、って言いたげの顔をしているね。



ごめんね、こう見えて色々知ってるんだ。



『…貴方は、僕に似たその人を…殺している。』



鬼舞辻「…黙れ。」



『その相手は…僕の前に、唯一現れた雨の呼吸の使い手。

雨の呼吸の使い手は、過去に一人しか居なかった。

そしてその者はその力を継承することもなく…貴方に殺された。

そもそも雨の呼吸は、その一族にしか使えない呼吸…その呼吸を使うその一族は、貴方が殺した人が最後の生き残りだったはず。

なのにそれが今継承された…だから、貴方は僕を、』



鬼舞辻「黙れ…！！」



そう言った鬼舞辻さんは、僕の首元に手を置く。



鬼舞辻「…やめろ、それ以上言うな…無理矢理鬼にするぞ…！」



『そんなこと、出来ないくせに。』



目を見れば、何処かその目は揺れていて。



『…貴方は、僕を傷付けることが出来ない。』



…その時、前髪がずれたから見えたのか…僕の右目を見た途端、表情を一気に変える。



鬼舞辻「…その…目は…！！」

699話→←697話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す