階級・甲の癸さん拾陸

724話　鬼舞辻side ページ30

春姫「そう言えば。」



鬼舞辻「？」



夕餉を食べていると、突然声を上げる春姫。



鬼舞辻「どうした。」



春姫「鬼の主食は人間なのに、無惨さんは食べないんですか？」



…それをよく食事中に聞けるな。



いや私の言えることではないが。



鬼舞辻「…お前と出会ってからは、私は人を喰っていない。」



春姫「…え！？」



「それ大丈夫なんですか！？」などと声を荒げながらそう言う春姫を見ながら答える。



鬼舞辻「…お前は耳も鼻もいいだろう、喰っていたら異臭で体調を崩すかもしれない。」



春姫「いや、良いって言っても人より少し…くらいのものですし…。」



鬼舞辻「それに私は現状で人と同じものを食って生きていられている、だから余り気にするな。」



そう言って撫でてやるものの、心配そうな顔を崩さない。



…正直に言ってしまえば、春姫と暮らすようになってから人を喰う気になれなくなった。



特に女を見ると…喰いたいとは思えなくなっていた。



春姫「…それだと、ちょっと、嬉しいけど。」



鬼舞辻「…何がだ？」



春姫「…鬼と人間って共存出来るんだなぁ、って思いません？」



…何を言っているんだ、本当に…。



鬼舞辻「…人間は鬼を殺そうとする、鬼が人を喰うからだ。」



春姫「じゃあ人を食べなければ殺す意味ないですもんね！

だから無惨さんが殺される意味はないってことです！うん！」



…私は鬼を増やす元凶だから殺さなければいけない存在なのに。



鬼舞辻「…相変わらず春姫は不思議な奴だな。」



春姫「？」



…お前にとっては、それが普通なのか。

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