階級・甲の癸さん拾陸

712話　鬼舞辻side ページ18

春姫「無惨さん無惨さん無惨さん〜！！」



鬼舞辻「喧しい、少しは静かに出来ないのか。」



春姫を拾ってから数年。



春姫は十つになった。



人間として人間の住む場所で鬼と気付かれないように生活をする。



それは多少とは言え大変で…だが、春姫に人間としての生活をさせるため、そうしている。



…何故人間の一人の少女に此処まで感情移入をしているのかも何も分からないが、春姫には…そんな生活をさせてやりたかった。



安心したことに、どうやら春姫は身体が弱かったりはしないらしい。



だから布を被せたまま昼間に外へ一人で遊ばせたりなどはしている。



…と言っても、そんなに遠くには行かせない…何かあってからでは遅いから。



だから広い屋敷を手に入れ、その屋敷の庭で遊ばせている。



たまに近所の子ども達と会っては屋敷へ呼んで遊んでいるが…まあ良い、私のことが気付かれさえしなければきっと平気だ。



春姫も布さえ取れなければ人と関わるのが苦手なわけではないところまでは育った。



…春姫は人間だ、人間の子どもとの関わりが欲しくなるのもおかしな話ではない。



私は春姫のしたいことをしたいようにさせてやっている。



確実に自由にはしてやれないが…それでも、出来る限りは…



…春姫には、笑顔が似合うから…なんて、私も妙なことを考えるようになったものだ。



いつの間にこんなにも春姫に絆されていたのか。



…本当に、不思議なものだ。

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