階級・甲の癸さん拾陸

710話　鬼舞辻side ページ16

鬼舞辻「…春姫、何をしている。」



春姫「むざんさんのまね！」



…何故か私の着ていた羽織を着てそう腕を開いてくる。



春姫「…おこりました…？」



鬼舞辻「…いや、怒ってはいない。」



どちらかと言うと、可愛い。



鬼舞辻「…今から出掛ける、行くか行かないか。」



春姫「よるですよ〜？」



鬼舞辻「鬼は陽が出ている時は活動が出来ない、故に主な活動は夜だ。

…この話この間もしたはずだが、もう忘れたのか。」



春姫「ごめんなさい〜！」



…ふわふわしたような口調に思考を持つ春姫は、何かと抜けていて見ていられない。



少しでも目を離したら誰かに攫われそうで…。



鬼舞辻「被れ。」



そう言って羽織を頭から掛けると、申し訳なさそうに見てくる。



鬼舞辻「…何だ。」



春姫「…わたしのかみが、めが、ふつうじゃないせいで…ごめんなさい。」



…謝るのはこいつの口癖だろう。



鬼舞辻「私は春姫の髪も目も嫌いではないが。」



春姫「…きらいじゃない？」



それでも心配そうに見てくる春姫の手を握り、小さく呟く。



鬼舞辻「…その、綺麗な白髪も…綺麗な緑の左目も…私と同じ赤の右目も、全て好きだ。」



そう言えば、嬉しそうに手を握り返してくる。



…私はこの少女…春姫に何処か甘いのかもしれない。



春姫「むざんさんすき！」



鬼舞辻「そうか。」



春姫「むざんさんは？」



鬼舞辻「…わざわざ聞くな。」



春姫「ふふっ」

711話　鬼舞辻side→←709話　鬼舞辻side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す