雨柱の癸さん肆

153話 ページ16

『ねぇねぇ何の話？僕も混ぜてくださいな』



面を被り、少し弾んだ声を出しながら近寄る。



そうすれば、同期らしき隊士は驚いた顔で僕のことを見てくる。



「あ、雨柱…！？」



『こんにちわ、あなたとは初めましてですかね』



そう声を掛ければ、罰の悪そうな顔で僕のことを見てくる。



柱は厳しく怖い存在だとされがちな分、僕に目をつけられるのもやめて欲しいことなのだろう。



そんな彼とは裏腹に、少年は僕のことをじっと見据えてくる。



真誠「…今の聞いてて、良い気がしなかった…って所ですかね」



『まあ、そんな所ですよ』



そう言えば、嫌な気配を察したのか同期らしき隊士が僕の方を見て頭を下げる。



「お、俺この後任務があるので、失礼します！」



『あ、はい。頑張ってくださいね』



そう声を掛け、走って去っていく彼を見守る。



『さて、少年。君が何故其処までして僕の継子になりたいのかは分かりました。

…ところで、この後僕の言うことが何かは分かりますか？期待の新人隊士さん』



皮肉を込めてそう言えば、少年は少し頭を掻いた後もう一度僕の方を見据える。



真誠「そんなことのために近寄るな、自分を利用するな…って所ですかね」



『あー、うん、惜しいです！別に僕自身は利用されようが何だろうが良いので。

と言ってもその通り、近寄って欲しくないのは事実なのですが』



苦笑しつつそう言えば、彼はそれなら何を言いたいのかと言いたげに見つめてきて。



だから僕は、少しだけ下を見てから…彼の方を見つめ、口を開いた。



『…雨の呼吸を、利用しようとするな』

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