最終戦別の話。陸 ページ31
『…はあ。』
やるつもりはなかった…少し様子を見て、それで終わらせる気だった。
だけど…身体が勝手に動いていた。
宍色の髪の少年に迫っていた異形の鬼の頸を斬った。
「…お前は…」
頸が斬れた鬼を一瞥し、踵を返そうとしたその時。
またも何かが流れ込んできた。
…兄に、手を繋いでくれとせがむ少年。
でも少年は…その兄を…
『…そっか、』
そう言いながら鬼に近付く。
…ねぇ光尊さん、僕こんな特典は聞いてないなぁ。
そう思いながら近付き、手を握る。
「…何故だ…!?」
宍色の髪の少年が驚いているのが耳に届くけれど、それを無視しながら言う。
『…次は離してはいけないからね。』
この鬼はただ、兄とまた手を繋ぎたかっただけで。
もしかしたら手がいくつもあるのは…それが理由なのかな…なんて、僕の勝手な憶測だけれど。
僕の言葉を聞いた鬼は、涙を流しながら…灰となって消えて行った。
『…来世では…どうか、幸せに…』
そんなことを願うのも、本来はよくないのかな。
…いや、良いよね…だって、同じように生きている存在じゃないか。
人が亡くなった時、あの世で幸せに…とか、来世で…とか、言うものでしょう?
だから鬼にも言ったっておかしくない。
『…にしても骨も残らないんだ、鬼って一体何なんだ?』
そう言えば、鬼に関しての説明はまだされてなかったような気がする。
光尊さんは何かと重要なところを話さない気がしてならない。
帰ったら取り敢えず斬り掛かってやろうか。
そう思ったらちょっと楽しくなってきた。
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そーな(プロフ) - すごく面白いです!続編楽しみにしてます(`・ω・´)ノ (2019年10月29日 11時) (レス) id: fda0224a1f (このIDを非表示/違反報告)
夕希(プロフ) - 私の好きな、薄桜鬼と鬼滅の刃がコラボしているとか、嬉しすぎます!ありがとうございます! (2019年10月25日 17時) (レス) id: 9681d7962f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 薄桜鬼!懐かしい……更新頑張ってください! (2019年10月25日 14時) (レス) id: 1f4124da1c (このIDを非表示/違反報告)
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