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前世の話。弐 ページ6

悲劇が起こったのは、僕達が10歳になった頃だった。



学校には父親の名誉のために行かされた、虐待を受けているのに気付いていた大人は居たけど…全て父親が揉み消していた。



僕達は人を信じられなかったから友達も出来るはずがなく、学校でもいじめを受けていた。



そんな日々を送っていたある時に、その悲劇は起こったんだ。



義母が、家族をみんな殺した。



父親と何か言い合ったのか、逆上した母親はいつもみたいに僕達に暴力を振るうわけではなく…父親に包丁を向けた。



そしてそのままそれで心臓を一突きにし、殺してしまった。



その後それを見ていて悲鳴を上げながら逃げようとしていた姉を刺した。



何回も何回も刺し、もう息はしていないのに殺し続けた。



次に兄を刺した。



姉と同じように何回も刺していた、もう息はしていないことくらい分かっていたはずなのに。



僕はその一部始終をずっと見ていた。



妹を抱き締め、目を塞ぎながら…ずっと、ずっと…父親が、姉が、兄が、殺されていく様を見ていた。



…その時思ったことは、一つ。



“滑稽だな。”



ずっと人に暴力を振るっていた人が、ずっと人に軽蔑の眼差しを向けている人を、ずっと人の苦しみを揉み消している人を、殺して行くのだから。



自分の味方をしていた存在であるはずの父親を、姉を、兄を殺して行くなんて…この人は、義母は…一体どれだけ馬鹿な人なのだろう。



嗚呼、滑稽だ。



そんなことを他人事のように思っていたら、次は僕達の方に向かってきた。



そしてそのまま、包丁を僕に刺した。



腕、脚、腿、腹…色んな場所を刺されたけれど、多分急所だけは何処か分からずに刺せなかった。



妹だけは、と思ってずっと被害が行かないよう抱き締めていたからか、諦めた様子の母親は…何を思ったのか、自らの首を家族を殺したその包丁で切り裂いた。



…この人は、自分の家族を殺して死んだ…何を考えているのだろう。



凄い痛みに、遠くなっていく意識の中…僕は他人事のようにそんなことを考えていた。



後にこのことは、「一家無理心中事件」として一時期有名な事件となった。

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そーな(プロフ) - すごく面白いです!続編楽しみにしてます(`・ω・´)ノ (2019年10月29日 11時) (レス) id: fda0224a1f (このIDを非表示/違反報告)
夕希(プロフ) - 私の好きな、薄桜鬼と鬼滅の刃がコラボしているとか、嬉しすぎます!ありがとうございます! (2019年10月25日 17時) (レス) id: 9681d7962f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 薄桜鬼!懐かしい……更新頑張ってください! (2019年10月25日 14時) (レス) id: 1f4124da1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心月美玲 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年10月25日 11時

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