階級・甲の癸さん拾弐

522話　不死川side ページ15

不死川「帰るかァ。」



任務が一通り終わり、そんな声を漏らす。



…明日にでもおはぎを買って彼奴の所行くか。



なんて思っていたその時。



「カァー！！カァー！！不死川実弥！！不死川実弥ー！！」



不死川「うるせェなァ何だよ！！…癸の鎹鴉？」



癸の鎹鴉って言ったら確か…何か癸に似ちまってたはずだが…何で此処に？



「Aが血鬼術ニ掛カッテ動ケナイ！！」



不死川「…はあ！？」



「助ケロスケベ野郎！！」



不死川「いやお前癸より口悪ィだろ！！」



そう言いながらも俺を案内してくる鎹鴉についていく。



そもそも何で彼奴はもう外に出てんだァ！？



また抜け出したのか彼奴！！



不死川「おい何処だ癸！！」



「其処ダ！！オ前ノ目ハ節穴カ！！」



不死川「来てやったのにうるせェぞ！！」



何なんだよお前はよォ！！



不死川「何処にも居ねえ…………だ、ろ…」



…視線を落とすと、其処には癸の着ていた服に包まる小さな子どもが居た。



って言っても…九つか十つくらいか？



目には包帯をしているが、それも緩んでいて…



不死川「…癸、か？」



そう声を掛けると、その子どもはびくっと肩を揺らした。



…そのまま俺の方を見ながら、怯えた表情で目に涙を溜める。



……………可愛い。



「良カラヌ事考エテル暇アッタラ蝶屋敷ニ運ベ！！」



不死川「分かってんだよォ！！ほら、癸此方に…」



そう言うと、びくびくしながら離れていく。



…は？？



「ドウヤラ記憶ガナイラシイ。」



不死川「てめェそれ先に言えェ。」

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