階級・甲の癸さん拾弐

539話　桜花side ページ32

桜花「Aはね、物心付いた頃からよくいじめられる子だったんだって。

本人は自分が引っ込み思案で怖がりで…臆病者で、人見知りだったからだと思うって言ってた。

でも多分そうじゃなくて…右目が関係するんじゃないかなぁ。」



冨岡「………右目？」



桜花「Aは元々両目の色が違ったんだよ。」



だからいつも前髪を伸ばして、その前髪で右目を隠してた。



桜花「ちなみに、子どもの頃は髪の毛の色も白かったんだよ。

大きくなるにつれて何故か黒くなったらしいんだけどねえ。」



我妻「髪の毛の変色…」



善逸とか蜜璃ちゃんみたいな感じだよね。



…小さい頃は、左目も別の色だったんだけど…何で色が変わったのかは本人にも私達にも分からない。



…ていうか今は黒髪黒目だな…それも不思議…私は黒いAの右目なんて見たことがないのに。



今回の鬼の血鬼術は、本人の願いも反映されるのかもしれない。



だって…髪の色が黒くなったのは、十二歳の頃らしいから。



桜花「で…九歳くらいの時に、いつもみたいな陰口とかじゃなく…殴られたり蹴られたりするいじめを受けるようになったらしい。」



竈門「女の子なのに…？」



桜花「そう、それをAは我慢し続けて、何でいじめられるのか分からなかったから母親に聞いたらしいんだよね。

その時母親が答えたのが…「取り柄がないから」、なの。」



…子どもに何を求めてたんだよ、ってね。

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