491話 悲鳴嶋side ページ33
悲鳴嶋「嗚呼…」
正直に言ってしまえば、私と癸に思い出というものはない。
気が付いた時には周りに認められており、私もいつの間にか認めていた。
自分でも何故認めていたかも分からない。
無理矢理柱にされそうになっていた哀れで可哀想な子。
それなのに誰とでも関われる。
何かあったわけでもないというのに私とさえ普通に関われる。
そんな彼女を、認めていたと言うより…妹のように思っていたのかもしれない。
文句を言いながらも誰のことも心から嫌うことはなく、誰に声を掛けられようが変わらずに接し、優しく対応をする。
私とは何か思い出が有るわけでもないと言うのに、それでも何かあれば普通に声を掛け、私が声を掛ければ返事をしてくれる。
それは何故かも私は知らなかったが…彼女が本来持っている優しさというものだったのだろう。
過去に何かあったのなら、可哀想に。
いつも皆に何かと絡まれ、可哀想に。
何故か時々悲しそうな顔をする、寂しそうな顔をする、辛そうな顔をする…可哀想に。
…だが、一度も彼女は自分のことを可哀想だとは言わなかった。
もしかしたら、可哀想と言う概念が自分に対してはなかったのかもしれない。
その分人に優しくすることが出来た。
…私は、そんな彼女の…癸の笑顔を、守ってやるべきだった。
何も知らないからこそ、他に何かをしてやれないからこそ、それだけでもするべきだった。
…癸、早く目を覚まし…また前のように私に文句を言ってはくれないか。
涙を流してばかりか、と…また、前みたいに声を荒げてはくれないか。
悲鳴嶋「…癸…起きてくれ…」
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ぽっぽ - これ、夢小説界隈にいていい人じゃないよ、、この話の作り方とか、天才のソレ夢小説以外でもこの人の作品をよんでみたい。オリキャラの配置がもう神、、、 (4月20日 2時) (レス) @page44 id: b2924b43fc (このIDを非表示/違反報告)
狐狸 - 累くんsideのところでとどめを打たれました。え?はやいって?仕方ないじゃん!涙が勝手に出てきたんだもんっ! (2020年7月8日 18時) (レス) id: a73b9ea5c2 (このIDを非表示/違反報告)
63:927393 - 涙が…止まらないです…めちゃ感動です。 (2019年11月7日 0時) (レス) id: 878066c85e (このIDを非表示/違反報告)
7112424 min(プロフ) - なんだよこれ…涙線崩壊しちゃったよ… (2019年10月23日 9時) (レス) id: a6cc06d7a9 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - 階級・甲の癸さんの拾壱を、見たんですけど、泣いて親にうるさいって言われました☆ (2019年10月16日 18時) (レス) id: 617ca4b157 (このIDを非表示/違反報告)
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