階級・甲の癸さん拾壱

476話　過去 ページ18

「一つも良い所ないじゃん。」



私だって良い所のない自分が嫌いです。



あなたの期待に添えられない自分が嫌いです。



あなたの思う「良い所」を持っていなくてごめんなさい。



「何でお前みたいなのが…」



こんな娘ですみません、本当にごめんなさい。



あなたをいつも失望させてばかりでごめんなさい。



あなたが私にどんな期待をしていたのかも分からなくてごめんなさい。



何で私はあなたの思い通りになれないんでしょうか。



「ほんと何のために居るの？」



私にも分かりません。



あなたが嫌なら目の前から消えるべきでしょうか。



でも行く場所がないんです。



もう少し待ってくれませんか。



ちゃんとあなたの見えない場所へと行くので。



それまで少しでいいので待ってください。



「要らない。」



要らない存在でごめんなさい。



必要ないのに目の前に居続けてごめんなさい。



不快な存在でごめんなさい。



笑顔にしてあげられなくてごめんなさい。



頑張れなくてごめんなさい。



存在してごめんなさい。



「＿、遊び行くよー。」



楽しんで来てください。



私は行かないから、行けないから。



＿、あの人を楽しませてあげてね。



私と違ってあなたは愛されてるんだから。



私の代わりにあの人と一緒に居て、その時間を大切にして。



「家のことやっといてね。」



やっておきます。



それをすることであなたが少しでも私の存在を許してくれるなら。



ちゃんとやります。



何かお土産頂戴とか言いませんから。



帰ってきて「楽しかった。」って、その一言を聞かせてください。



私はそれだけで幸せです。



「お前はノリ悪いから連れて行かないよ。」



分かってます。



あなたの望むノリを私は持っていません。



兄や妹と違って私はあなたの期待に添えませんから。



知ってますから、行ってきてください。



その代わり、とは言いませんから。



楽しんで来てください。



沢山、笑って来てください。



僕の分も、



笑い方を忘れてしまった僕の分も、笑って来てください。

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