階級・甲の癸さん玖

411話　時透side ページ47

時透「…？」



暫く見てから部屋から出ようとすると、癸が魘され始めたのに気が付く。



…起こした方が良いかな。



時透「癸、起きて。」



そう言っても起きないから、揺さぶりながら声を掛ける。



時透「起きてよ、癸…ねぇ、起きて。」



………イラッ



時透「起きろって言ってるでしょ。」



バシッ



『ちょ、痛いんですけど小石さん！？』



叩けばやっとのことで起きる癸。



『いや寝ろって言ったり起きろって言ったり忙しいな！？』



時透「言った時に言ったことをしてくれる？」



『すみませんね！！何ですか！？』



…気付いてないのかな、魘されてたこと。



時透「魘されてた。」



『…え、』



時透「だから起こした。」



そう言えば、何を考えているのか分からないような表情でいう。



『…調子悪い時に寝ると、悪夢を見るんですよね。

まあ…毎日夢は見るし…良い夢を見る方が少ないんですけど…調子悪いといつもの数倍は嫌な夢を見るっていうか。』



…ああなるほど、さっき言おうとしていたのはそういうことか。



時透「…それなら早く言いなよ。」



『…ごめんなさい。』



そう言いながら隣に寝る。



『あの…？』



時透「添い寝してあげる、その方が少しは良くなるんじゃないの。」



無理矢理頭を胸元に引き寄せ、小さく告げる。



時透「…怖いことはないから、此処に居るから…ゆっくり寝なよ。」



『…おやすみなさい。』



時透「ん。」



…覚えてるかな、僕の好み。



「男勝り」…その意味、分かってないんだろうな。



…別に今は、まだそれでも良いけど。

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