階級・甲の癸さん玖

385話 ページ18

「どうしても何も、鬼だから斬っただけです！」



…少し距離の有る所から、そんな声が聞こえてくる。



…ああ、この声は…



『…良い鬼と悪い鬼の区別も出来ないなんて…クズが。』



桜花「…埜田雪希…」



…僕の何より憎い相手…埜田雪希。



雪希「普通に考えてください、今放置しておいたらその隣に居る女の人は殺されていたかもしれない！！」



『何故見て分からないのですか、どう考えてもそういう鬼ではなかった。』



雪希「あなたは鬼を勘違いしている…鬼は平気で人を喰らう醜い生き物！！」



『勘違いしているのはお前の方だ…鬼は悲しい生き物だ！！』



ダメだ…彼奴とはとことん話が合わない。



『…お前は腐っても鬼殺隊…だから何もしていない…。

…だが僕は…お前のことを、殺したいほどに憎んでいる…嫌っている。』



雪希「その感情を持つべきなのは鬼に対してなんじゃないですか！？」



『何故妹を守ろうとした鬼を憎み嫌わねばならない！！』



累「…確実に、守ろうとして傍に居ただけなのに…。」



…ああ、何で、どうして…あの人ならきっと…



雪希「本当に…本当にっ…！！私には…どうしても…！！」



そう言いながら、僕を睨んで言ってくる。



雪希「あなたの気が…知れないです…！」



『僕もだから安心して欲しいです！！』



思わず即言い返してしまう。



人を喰らう気のない鬼を殺す必要性など、僕には分からない。

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