7話☆ ページ9
『………』
「………」
…沖田さんを追っているはずなのに、走ろうとはしない彼。
何故だろう…とは思うものの、変に声をかけるのは(私の命的に)良くないかな、と思いとりあえず沈黙を続けることにする。
『…おかしい。』
「…え?」
『夜とは言えヤケに静か過ぎる…妙です。』
静かにそう告げられ、納得が行く。
…確かに、何一つ音もしない…まるでこれから何かが起こるように…
『!!退け!!』
そう叫び、私の腕を引っ張る。
グサッ
…次の瞬間私が見たのは、彼が白髪赤目の男の心臓辺りを刀で突き刺しているところで。
人が死ぬところなんて“あまり”見たことのない私には、それは衝撃的だった。
「…っ…う、あ…」
『チィ…下がっていてください。』
…一人は死んだというのに何故…なんて、考えている暇なんてなかった。
だって気が付いた時には、目の前に羅刹があと二人居たから…。
『…はあ、』
彼は少し私の方を見てから、羽織を掛けてきた。
『ただの娘が見るには酷でしょう…それで目を覆っていなさい。』
…私のことを、考えてくれたんだ。
「…ありがとう、ございます…」
『何故礼を言うのです、貴女の命を保証するわけではないのですよ。』
…確かに私はこのあと死んでしまうかもしれない。
「…それでも。」
でも…今助けられたことに…助けられていることに、何ら違いはないから。
…だから、お礼を言ったの。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ