26話☆ ページ28
沖田「っ…」
…やっぱり。
こういう不器用な“存在”を、私は何度も見たことがある。
「…素直に言えば良いのに。」
沖田「はあ…お気楽だよねほんと。なれてるならなってるでしょ。」
そう言って私から離れた沖田さんは、ぐしゃぐしゃと自分の頭を掻く。
「ならないと、」
…私は何で、こんなに余計なことを言うのかな、
「いつ会えなくなるかも分からないんですよ。」
この人達に言っていい言葉じゃないのに。
沖田「知ってるよ、僕達はいつ死ぬかなんて分からないし」
「後悔しますから。」
…余計なお節介なのは知ってる。
それでも…
.
.
“あの時言っておけば…なんて後悔、しても無駄なのは知っている。
それでも…どうしてもしてしまうのは、あの時素直になれなかった自分を恨んでいるからなんだろうな…。”
.
.
もう、“彼”みたいに辛そうにそう語る姿を…見たくなんてないから。
沖田「…あの子はね、誰にも心を許さない。」
「…え、」
沖田「だから仕事の時以外はそんなに話さないんだよ。」
…知らない、そんな天馬さん…私は、知らない。
沖田「なのにさ…急に来た、信じるべきなのかも分からない君のことは庇うように饒舌になったり…君にだけは、優しい目を向けたり…ほんと、」
そう言って私を見て…少し悲しそうに笑いながら、言った。
沖田「恨めしいよね、君。」
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