保健委員と白布くん【白布賢二郎】

続 ページ40

川西「…何、だよこれ。」



白戸さんのお姉さんが事故に遭った。



どうして事故に遭ったかも、もちろん聞いていた。



…白戸さんが最近学校に来ないのも、それが理由だってことくらいは知ってた。



でも、だからって、



「姉殺し」「お前が姉を殺した」「人殺し」「お前が死ねば良かったのに」



こんなこと、書く必要性なんてないだろ。



その落書きが書かれた机を、白戸さんは静かに見つめていて。



川西「これ、やったの誰。」



俺が静かに問い掛けると、白戸さんを見ながら陰口を叩いていた奴らは黙り込む。



川西「白戸さん何も悪くないだろ。なのに何でこんなことしてんだよ。」



「でも、白戸さんが、」



川西「何で白戸さんが悪くなるんだよ！！何もしてないだろ！！」



『良いよ、川西くん。』



俺を止めたのは、白戸さん自身で。



『…大丈夫、悪いのは私だって、知ってるから。』



川西「違う、白戸さんは、」



『お姉ちゃんじゃなく、私が、』



川西「白戸さん！！」



そう言いながら肩を掴むと、今にも泣き出しそうな顔で俺を見る白戸さん。



白戸さんは…その顔のまま、“笑った”。



『…ごめんね、ありがとう…本当に、ごめんなさい。』



そう言った白戸さんは、そのまま教室から出て行った。



…そんな顔が見たいわけじゃなかった。



俺はただ…白戸さんに、笑って欲しかっただけなのに。



川西「…何もしてやれないじゃん。」



…ああ、不甲斐ないなぁ。

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