保健委員と白布くん【白布賢二郎】

19◇　過去 ページ19

『何であのトス打ってくれなかったんですか…？』



先輩達に声をかける。



…決して、無茶なトスを打ったわけではなかった。



むしろスパイカーに忠実なトスを打っていたはずなんだ…。



なのに、何で…



「1年のくせして3年を上回ったからでしょ？」



気に入られていないのは知っていた。



そりゃあそうだよ、そうなるのは分かっていたから。



「でも、あのトスを打たなかったおかげで○○先輩はコートに立てた。」



トスを打ってもらえなかった私は、強制的に交代させられた。



…まるで、私がいけなかったかのように。



『…だから負けたんじゃないですか。』



「は？」



『あの一本を打っていれば、勝てたかもしれないのに…!!』



「自分のトスなら勝てたって言いたいわけ？」



「良いよね天才は、努力しなくたって良いんだから。」



努力しなくたって…？



私は確かに努力してた…中学のときから、ずっと…ずっと！



『何も知らないくせに、知ったような口利かないでください！』



「うるさい！」



「アンタそこまで言って戻って来れると思わないでよ？」



…もう良い…



『こんな部…こっちから願い下げだ。』



もっとバレー続けたかった…。



…もっと、トスを、上げたかった…。



『っ…』



悔しい…悔しい…!!



何で…頑張っても…無駄なの…？

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