【QK】食わず嫌いのキミへ。《短編集》

見せちゃだめ_fkr ページ47

『はぁ、まだ止んでないのか。』





どんよりとした雲がかかっている空を見あげながら気分を下げる





動画編集も終わり、伊沢さんから帰っていいよという声を頂けたので帰ろうとしたのだが...




『はぁぁぁ、傘持ってきてない...』




いつもは携帯している折り畳み傘を家に置いてきてしまったのだ





『ついてないなぁ。朝は晴れてたのに


...んー、このまま残ろっかなぁ』




この雨の中ダッシュする勇気もなく、オフィス内に戻ろうとすると
先方から私の片思い相手である福良さんの姿が。





『...おつかれさまです。福良さんもお帰りになるんですか？』





「ううん、撮影に必要な物買いためよっかなぁーって思って」






『あ、そうなんですね』




___チラッと彼の姿を見ると、手には傘が。




その傘を貸してくださいなんて言えるはずもないよね。うん。





「ねぇ、さっきから俺の手見てるけど
A傘ないんでしょ？」







『はは、バレました？
お恥ずかしいことにそうなんですよねぇ』








「じゃあ一緒に入る？」









『え、わざわざ申し訳ないですよ。

...雨が止むまでオフィスにいよっかなって』









ぜひお願いします、なんて言えるわけないじゃんね








「もうしばらく止まないらしいよ？」






おっと、まじですか。



んー、これは福良さんのお言葉に甘えてもいいのか？






「ほら、行こ」



と、私が迷っている間に傘をさして入れてくれる







『ありがとうございます...。』







どんだけ紳士なんだこの人は...！！




.







雨降りの中、とぼとぼ2人で歩く




あー、この時間眼福すぎます。



好きな男性にこんなことしてもらえるなんてどんなサービスなんだろう？



有り難き幸せ...。




などと福良さんを全力で崇めている時だった









「あ、A危ない」




彼はそう言うと私に覆い被さるような体勢になる





つまりは、軽い壁ドン的な状態。軽く抱かれているような状態といってもいいかもしれない




え、ま、何この急展開...乙女ゲーか何かですか？

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