【QK】食わず嫌いのキミへ。《短編集》

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気づいてたら、勤務最終日を迎えていた



...最後、かぁ。




机に突っ伏して今までのことを振り返る



”先生可愛い” ”先生大好き”



そんな彼の声が木霊して、心が苦しくなる


......もう、帰ろっかな。


渡辺くんのために用意したイスを戻そうと、立ち上がろうとした時だった









今1番会いたかった人が、目の前に現れたのは＿＿＿＿＿＿







「せんせいっ、！！」





...久しぶりに聞いた彼の声。









『渡辺、くん...もう来てくれないと思ってた』









「いや今日が最後だって聞いて...


ほんとに、最後なの......?」







『あら、知らなかったの？

渡辺くんらしいね。』







渡辺くんは、私が用意した椅子には座らない
...気持ちが収まらないのだろう








「ねぇ先生、おれが来なくなってもずっと保健室開けてくれてたの？」







『...うん。


実を言うとね、渡辺くんが保健室に来てくれること....いつの日からか期待してたの。
...あの日以降も明日はもしかしたら来てくれるかもって、
”先生可愛い” ”先生大好き”って言ってくれる渡辺くんの姿想像しながら毎日待ってた

けど、気づいたら最終日になってて...



...最後に渡辺くんの姿見れて良かったなぁ」





「先生、俺勘違いするよ、？

そんなこと言われたらさ」







『うーん、........渡辺くんに、勘違いされたくて言ってるのかな。私。』






勘違いじゃないよ、君のことが好きなんだよ
....ずっと好きだった
それなのに今まで向き合ってこなくてごめんね

って、素直に言えばいいのに

また遠回しな言いぶりをしてしまう




私が呟いた途端、彼は涙を流し始める




"せんせい、....彼氏いるじゃん
こんなガキのこと、眼中にないくせに
俺の事なんかこれっぽっちも心にないくせに"


＿＿うん、...今までたくさん好きって言ってくれたのに、応えられなくてごめんね。逃げてごめんね。





"なんで最後だけそんなこと言うの？
なんで、期待させるようなこと言うの？"


＿＿そうだよね、今まで向き合ってこなかったくせに最後だけずるいよね





"だから子供扱いしない、でよ、...っ、"


＿＿もう、自分の中では君のことを子供だとは思えない





"...あきらめさせてよっ、"






＿＿.....そんな、悲しい顔、させたい訳じゃないのに、


ーーー


え、収まらない。

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