35 ページ35
時計の秒針が振れる音。
その音でゆっくりと頭が覚醒して
目が覚めた。
当たり前にテヒョンは居なくて。
暗くシンとした部屋が嫌に冷たく感じる。
ゆっくりベッドから起き上がりリビングへ。
豆電球の明かりが付いているだけで、誰も居ない。
ソファーにゆっくり座るとユンギの言葉を思い出した。
傷つく資格なんて一切ないのに、
失恋した時のようなジクジクした嫌な痛みがあった。
スタイリスト、降りた方がいいのかも…。
そう思うと、さっきの傷みはより広がって、
今までになく、私を惨めにさせた。
SG「風邪ひくぞ」
背後から薄手の毛布を掛けてくれて人がいる。
その声は、やけに悲しげで痛々しかった。
振り返られずにいると、
キッチンに消えていくユンギが見えた。
さっきのこともあるし、気まずい。
あんなに「謝らないと」と思っていたのに、
いざ本人を目の前にすると緊張して息が詰まる。
オロオロしている内に、彼がキッチンから戻ってくる
持っていたマグカップの1つを、私に手渡してくれた。
『え、あの…。ありがとう』
ユンギは、黙って私の隣に腰かけた。
しばらく沈黙が続いて、もう私も耐えられない。
きちんと謝罪して、そうしたらもう家に帰ろう。
『ユンギ、あの私…本当に』
SG「やめろ」
肝心の言葉を妨げられて、私は黙るしかなかった。
謝らせてもくれないぐらい、怒ってるのかな？
やっぱり、仲直りはもう無理かもしれない。
SG「悪かった。あんなこと言って」
驚いて、ユンギの方を見ると
彼はマグカップを両手で持ち、
視線を床に下ろしていた。
『ううん、言われてもしょうがないよ』
SG「そんなことない。俺がガキなだけ」
『違うよ。私がバカだから』
SG「そこは否定しねーけど」
『うん…私も、ごめんなさい』
今度はユンギが私の方へ振り返る。
その顔は、どこか不満気だった。
SG「俺らじゃ、頼りないのか？」
違う。そうじゃない。
言えなかったのは私の弱さだ。
『迷惑かけたくなくて。
でも、結局迷惑かけちゃったし意味ないけど…』
SG「話してくれねーと、守ってやれねーだろ」
私にはもったいない言葉に聞こえて、でも嬉しくて。
私はマグカップに口を付けた。
SG「俺らはチームだろ。それはお前も込みで。
これからは、絶対に隠し事すんな」
『うん、ありがと。本当に、ごめんね』
SG「もういいって」
その後は、喋るわけでもなく。
2人ともお互いに寄りかかるようにして
そのままソファーで眠った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みこち(プロフ) - ぱぴこ(元AUS)さん» コメントありがとうございます！仕事が忙しくなかなか更新ができていませんが、長い目で見守っていていただけると幸いです！ (2021年7月2日 21時) (
レス) id: dae6f90cd4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(元AUS)(プロフ) - 続きとてもとても楽しみにしています！！！ (2021年7月2日 19時) (レス) id: 246b4ca496 (このIDを非表示/違反報告)
a0906uw(プロフ) - 美海(ﾐｳ)さん» コメントありがとうございます！見入ってしまうなんてとても嬉しいです！これからも頑張りますので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです！ (2021年6月20日 15時) (レス) id: 206d05cf3f (このIDを非表示/違反報告)
美海(ﾐｳ)(プロフ) - すごく見入ってしまうお話で、めちゃめちゃ愛読してます！これからも楽しみにしてるので、頑張ってください！ (2021年6月20日 12時) (レス) id: daf6e76b56 (このIDを非表示/違反報告)
a0906uw(プロフ) - ゆっこさん» コメントありがとうございます！初めてコメント頂けて嬉しいです（泣）知識不足で色々と読みにくさもあると思いますが、完結までなんとか頑張ります！ (2021年6月19日 20時) (レス) id: 206d05cf3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みこち | 作成日時：2021年6月16日 12時
