桜乱 ２ ページ2
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駅を降りる。
意外と堂々と待ち合わせって
出来るんだな・・・。
黒いキャップを深々と被り、
マスクをした彼が片手をほんの瞬間、
私に向けて上げる。
こんな・・感じなんだ・・・。
その姿を見ただけで
ニヤけそうになるのを堪えて
彼に元に駆け寄る。
私が隣に着くと
彼は少し顔の角度をあげた。
キャップのつばがあがり、
ほんの少し、彼と目が合う。
彼にとったら何気ない仕草、
でもこちらはその色気に倒れそう。
「どうした？」
前を向き、彼が言って来る。
「えっ？なに？」
「すんげ、ニヤけてたから。」
オレと会えて嬉しいんだよ、
オレの姿が見えただけで、
こんなになっちゃうんだよ。
「会社で・・・
なんかいいことあった？」
ぼそぼそ、
ぼそぼそ、っと呟いた声なのに
彼の声は
どんな喧騒にも紛れない。
「なんでそうなるかな・・・」
聞こえて欲しいような、
聞こえなくていいような、
そんな思いで囁いた。
「ん？」
「会社・・とか・・・
言う・・とか・・・」
「〖今、会社出たばっかりだから〗
みたいなの来ると
オレの知らねぇ世界に
いんだな、って改めて思う」
「・・・自分の方が・・・・・
・・・そういう世界にいるのに・・・・・」
「そう？」
「そうだよ、」
それきり彼は黙り込んだ。
駅に向かう人と
駅から降りる人とで
駅前の通りはたくさんの人が
行き交っていた。
人に紛れると
彼はタダの彼でしかなく見えた。
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さくら(プロフ) - きくさん» きくさん、コメントを頂きありがとうございました。続きが書けるよう頑張ります♪ (2020年3月2日 1時) (
レス) id: 4b974240a6 (このIDを非表示/違反報告)
きく - さくらさんの作品、どれも素敵で見入ってしまいます！次の作品も期待してます！ (2020年2月25日 16時) (レス) id: a7c47c10e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら
| 作成日時：2019年4月18日 13時
