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俺は大事なことを忘れていたのかもしれない。
俺とAは悪友であり
良くも悪くも深く干渉しあってはいけないということを。
悔しい時にもう一度勝負を挑んできたり
嬉しいことがあった時に思いきり笑ったり
悲しい時に思いきり泣いたり
時には俺が幸せそうにしていたら少しだけ羨んだり
俺が振られた時には馬鹿みてえに手を叩いて喜んだり
ありのままの姿を見せてくれる、飾り気のないAが大好きだということを。
Aは、嬉しい時や普通の時は俺のことを“諒”と呼ぶけれど
怒ったり、感情のままに話してくるときは必ず俺のことを“シルク”と呼ぶ。
さっきもそう。
俺もまた私的感情をぶつけるときはAとは呼ばずに、お前と呼ぶようにしている。
お互いの中で何故かわからないけれど
お互いの名前は傷付けたりせず、大切にしたいという思いがあるから。
「…アスレチック以外の時はちゃんとこれつけてるようにするね」
彼女は車椅子に座り、酸素チューブを鼻につけた。
弱ってる姿は本当に誰にも見せたくない奴なんだな、と思った。
やっぱり俺達2人はそっくりで、出逢うべき存在で
シ「適度な意地張りくらいなら付き合ってやるよ」
無くしてはいけない存在なんだ。
俺は彼女に手を差し伸べ
彼女はその手をとり車椅子から立ち上がった。
俺は車椅子を畳み、もう一度ちゃんとAの手を握った。
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鈴木佳花 - 最後めっちゃ泣いちゃった (2019年2月1日 19時) (レス) id: 8c51f3c097 (このIDを非表示/違反報告)
リサル - 君を忘れたいを聴きながら、読んでいたので、なんだか、曲とあっていて、倍泣いてしまいました。とってもいい作品です! (2018年11月25日 17時) (レス) id: 0d0f76e2d7 (このIDを非表示/違反報告)
るる - なんか、「君の膵臓を食べたい」に似てる気がする。 (2018年8月5日 15時) (レス) id: 5f41b25908 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあゆあ - めっちゃ泣いてしまいました~!いい作品! (2018年6月22日 19時) (レス) id: d4e608e91e (このIDを非表示/違反報告)
ういろううり(プロフ) - 話がすごく良すぎて泣いてしまいました。すごくいい話! (2018年5月31日 23時) (レス) id: 5156ec9647 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すば∞なな | 作成日時:2017年6月25日 22時