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ピタッと冷たいものが貼り付いた感覚で目を覚ました。








これは








この嫌な感触は








「…やめろよ」








「あ、バレた?」








背中の方から声がする。








「剥がせ。背中に手届かねえから」








「やだ」









「まじでやめろ、気持ち悪いから」









「リアクション薄くてガッカリしたから剥がすね」








Aは俺の背中に貼った冷えピタを剥がした。








「ねえ、嫌いになった?」








「元から嫌いだな」








「はー、うざー」








「朝から嫌なことしてくるお前も相当うざいぞ」








「ネチネチするなよー、シルクロード」








「この野郎」







Aの方を振り返ると








Aは嬉しそうな顔をしてベッドの上に座っていた。







「お前のその顔いつ見ても腹立つな」







「どうせ昨日まで可愛いとか思ってたくせに」







「思うわけねえだろ、自意識過剰」







「…少なくとも私はかっこいいって思ってたよ」







急に儚い顔で笑うから







驚いてしまって







何も返せなくなってしまった。







「何よ、黙り込んで」







「…いや。寝不足だから寝るな」







「…うん、おやすみ」







目を閉じ、考えるのはAのこと。







かつて近くの公園で1on1をして







引き分けばかりでもう2度としないと決めたこと。







俺の好きな人を当て、さんざんアドバイスしたくせに







そいつに彼氏がいたとわかった瞬間に俺の顔を見て爆笑しやがったこと。








悔しい思いをした時には








いつかきっと見返せる時が来るからその日までお互い頑張ろう、と飯を奢ってくれたこと。









彼氏が出来た、と嬉しそうな顔で祝いの言葉を求めて来たこと。









デートに着ていく服を一緒に探したりもした気がする。









そう考えると、俺らの人生は必ずどこかで交じり合っていて









今この交じり合ったままAの最期を見送ることは






必然のように感じた。







そしてその感情と共に思うのは







やっぱり







Aが好きだ、ということ。

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設定タグ:Fischer's , フィッシャーズ , シルクロード   
作品ジャンル:恋愛
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鈴木佳花 - 最後めっちゃ泣いちゃった (2019年2月1日 19時) (レス) id: 8c51f3c097 (このIDを非表示/違反報告)
リサル - 君を忘れたいを聴きながら、読んでいたので、なんだか、曲とあっていて、倍泣いてしまいました。とってもいい作品です! (2018年11月25日 17時) (レス) id: 0d0f76e2d7 (このIDを非表示/違反報告)
るる - なんか、「君の膵臓を食べたい」に似てる気がする。 (2018年8月5日 15時) (レス) id: 5f41b25908 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあゆあ - めっちゃ泣いてしまいました~!いい作品! (2018年6月22日 19時) (レス) id: d4e608e91e (このIDを非表示/違反報告)
ういろううり(プロフ) - 話がすごく良すぎて泣いてしまいました。すごくいい話! (2018年5月31日 23時) (レス) id: 5156ec9647 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すば∞なな | 作成日時:2017年6月25日 22時

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