俺が殺した。【Fischer's】 (ページ16)

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今日は久しぶりの心霊スポット動画を撮る。

シ「ジャンケンで負けた奴が一人で行こうぜ」

ン「絶対勝つ」

モ「俺が勝っても面白くないよ」

マ「同じく」

ぺ「俺はマジで行きたくない」

ジャンケンをする。

一発で勝負が決まった。

負けたのは…

ン「俺かよー！」

まさかの俺。

シ「やばいと思ったら帰ってこい」

カメラとライトを持たされトンネルの中へと入っていく。

ン「怖いなー」

重たい足を前に進ませ

ようやくトンネルの出口が見えたその時。

人影が見えた。

え？

幽霊？

ン「脅かそうとしてるのー？良くないよそうゆうの」

俺がそう言うと女の子の声が聞こえてきて

「ごめんなさい！携帯探してて！」

ん？

この声…

いや、まさか。

もしそうなら本当に幽霊に会ってる事になる。

ン「携帯見つかりましたか？」

「いや…この辺だと思うんですけど…」

彼女に近付く。

半分の好奇心と半分の恐怖心を織り交ぜながら。

その時、足元にスマホがあるのを発見した。

拾い、彼女に渡す。

ン「はい、これじゃない？」

「あ！そうです！ありがとうございます！」

俺の手から携帯を取る彼女の顔を見て驚いた。

彼女はAちゃんそっくりだった。

いや、そっくりというより

本人そのもの。

「怖いですよね、ひとりで心霊スポットって」

くしゃっとした笑顔。

俺が落ち込んだ時、この笑顔で励まされた。

その笑顔が

もう見れないと思っていた

もう会えないと思っていた彼女が今、目の前に。

「あ、もしかしてYouTuberさんですか？」

ン「…あ、ああ、そうです」

「握手してください」

ン「いいですよ」

握ったその手は小さくて

温かかった。