ラムネ【Fischer's】~Episode2~

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「諒太、パパ起こしてきて」





「うん！」





リビングから寝室へ一目散に走る諒太を眺めながら





朝ご飯を盛り付ける。





「パパ！起きて！」





元気な声が響き渡る。





んー、と気怠そうな声も聞こえてくる。





結婚式を挙げ





迷った挙句出した結婚式の動画は反響が大きく





あっという間に登録者数500万人を突破するYouTuberへと諒は登りつめた。





毎日忙しいらしく、諒が寝るのは私と諒太が寝静まった3時とか4時になっていて





親子3人で川の字になって寝てえな、と寂しそうに呟いていたりする。





「ちょっと、諒太痛えって」





バシバシと叩く音と諒太の楽しそうな笑い声。





諒はご飯を食べたら撮影に向かってしまうし





帰ってくる時間も12時を越えたりしてしまうから





諒太にとってパパに構ってもらえる時間は朝しかない。





それをわかっている諒は、諒太にどんな起こされ方をしようと怒ることはしないし





むしろ自分から朝ご飯を家族全員で食べようと提案してきたりしたのだった。





「ほら、諒太飛行機だぞー」





はしゃぐ諒太を担いだ諒がリビングへやって来た。





「おはよう」





「おはよう、寝癖ひどいね」





「いつものことだろ。ほら、諒太座ってご飯食べるぞ」





いいパパだなあ、なんて見惚れてしまう。





「なんだよ、Aも飛行機したいのか？」





「ふふ、しないよ」





「今日こそは絶対撮影早く終わらせて早く帰ってくるからな」





と私の頭を撫でてくれる。





「うん、わかったよ」





それだけで今は幸せで





それ以上は望んでいなかった。





ただ諒が帰って来てくれさえすれば





また朝ご飯を一緒に食べられさえすれば満足で





「気をつけてね」





といつもと同じ言葉を投げかけた。





いつもは、ありがとなと笑うだけなのに





今日は




「あー、Aともっと一緒にいてえ」





なんて可愛いことを言うから





今晩は帰ってくるのがどれだけ遅くても





起きて待っていようと思うのだった。

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