ラムネ【Fischer's】~Episode2~

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深く息を吸い







ゆっくりと目を閉じ







あなたの姿を思い浮かべる。







・







「わっ」








「お前ラムネ開けんの下手くそすぎんだよ」








勢い余ってラムネが服にかかってしまった私に







鞄から汗くさいタオルを引っ張り出し差し出す君。







「ありがとう」







「これ、お前が去年の誕生日にくれたやつだよな」







「うん、使っててくれたんだ」







「当たり前だろ、俺の好みどストライクだった」







そう笑顔で言う彼にドキッとして







「ほら、髪にもかかってんぞ」







そう私の頭をタオルで拭いてくれる彼に







私は初恋を捧げた。







「部活、楽しい？」







「すげえ楽しいよ」







「…好きな人、出来た？」







「出来た」







叶わないとわかっていたのに







諦められなかった。







「お前は？」







「私もいるよ」







「は、誰？」







「教えない」








教えられるわけがないと思った。








君が好きなんて言えやしなかった。








「お前が好きになるやつってどんなやつなんだろうな」







楽しそうに笑う君の横顔を見て







「…毎日楽しそうな人」







と遠回しに伝えようとしたこと







そんなんいすぎてわかんねえよ、と無邪気に笑う君の姿







幸せな時間を思い浮かべる。







あの時から、今になっても大好きなまま。







私の心の時間は止まっている。

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