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「私は幸せに浸ってるの。だから邪魔しないで!」
「相手は既婚者だけどね」
「わかってます!!」
入社以来ずーっと憧れていた京本課長は、私が入社したその年に違う部署の女性と結婚した。
うちの部署とよく関わりのある部署だったから相手の女性は私も知っている人で、それはもう美人さん。
お似合いカップルは今年の夏に子宝にも恵まれて、今では京本課長も一児の父だ。
でも、そんなの関係ない。
私は別に課長に恋愛感情を抱いているとかそういうのではないから。
「課長はオアシスなの!私が仕事を頑張れる理由なの!」
「どうせ作間くんには分からないと思うけど」と付け足すと
「わかるよ。だって俺にとってそれはAさんだから」
「は…?」
返ってきた言葉は予想外で、可愛らしさなんて微塵もない声が出る。
「まぁ…俺の場合は憧れじゃなくて、恋愛感情だけどね」
今、この人なんて言った?
レンアイカンジョウ…?
サラっとすごいこと言われた気がするんだけど……気のせい?
ただの空耳?
私の勘違い?
「5年分のデータ集めといたから、あとはそっちでまとめといて」
「あ!ちょっと!」
聞き返そうにも彼はすでに私に背を向けている。
なんですか!?
言い逃げですか!?
「じゃあ、よろしく」とひとことだけ言って去っていく後ろ姿は、そのまま小さく遠くなって、しまいには見えなくなった。
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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時:2019年1月13日 6時