さくまくんと私 (ページ6)

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色恋ボタンページ6

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パソコンとにらめっこしながらデータ入力をしていると、「Aさん」と呼ばれる。

待ってました！と言わんばかりに声のした方へ顔を向ければ、チャコールグレーのスーツに身を包んだ京本課長とぱちんって目が合って、柔らかく微笑まれた。

……ああ、その笑顔。
今日も目がくらむほど眩しいです。

「頼んでおいた資料ってできてる？」

「はいっ！できてます！」

着ているスーツも、履いている靴も、ちらりと左手から覗く腕時計も…全部全部ブランド物。
だけどそれに嫌味はない。
だってそれらはすべて京本課長をより輝かせてる材料のひとつにすぎないから。

……睫毛長いなあ。
肌もキレイだし、これでアラサーなんて信じられない

プリントアウトした資料をペラペラと捲る課長を、斜め下からこっそり盗み見しながらそんなことを思う。

今の私ははたから見たらやばい奴だろうけど、こんな近くで綺麗なお顔を拝めるチャンスはそうそうないから、しっかりと目に焼き付けておいた。

「うん、さすがだね。よくまとまってる。Aさんに任せて正解だった」

「いえいえ、そんな……ありがとうございます」

謙遜したのは謙虚な後輩だと思われたいから。

でも隠した心は「わーい！褒められた！京本課長に褒められた！」なんて舞い上がって飛び跳ねて、ルンルン気分でスキップをしていた。

憧れの人の言葉一つで、あんなに嫌で苦痛でしかなかった残業が一気に報われる。

「じゃあまた。今日の午後よろしくね」

「はい！よろしくお願いします」

頭を下げると勝手に口元がにやけて、バレないのをいいことに私はそのまま暫く口角を上げていた。

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