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「んんっ、さく…っ、ちゃんっ…」
部屋に入るなり息つく間も与えられないまま唇が重ねられる。
両手で彼の胸をどんどん叩くと、吸い付くように触れていた濡れぼそったそれが離れた。
「ちょっと…っ、まっ…て…」
「待たない。もう何年待ったと思ってるの?」
整わない息で言い返してみるけどそれにはなんの効果もなくて、「さすがの俺でも我慢の限界」なんて呟いた彼がじりじりと距離を詰める。
「んっ、…っ、」
再び唇が重なると背中側に回った彼の腕に腰を支えられ、そのまま押されるように後退る。
両脚が何かにぶつかって、バランスを崩した身体はベッドに投げ出された。
「あっ、…っ、ちょっ…っ、だめっ、…」
馬乗りになった彼が耳に唇を寄せて、「これでダメだったらこの先もたないよ」なんて今までに聞いたこともないような艶めきだった声で囁く。
「…まっ…って、」
「待たない」
こんなの心臓がいくつあっても足りない。
作ちゃんとはもう長い付き合いだから、好きな食べ物も音楽も、趣味や癖だって知ってるのに。
ただ一つ。
それだけは知らなかった。
それだけは“友達”のままじゃ知れなかった。
「好きだよ、Aちゃん」
頬に添えられた右手が、まるで私がそこにいることを確かめるみたいに頬を撫でる。
「言わなきゃわかんないなら何度だって言ってあげる」
「好き」と言っておでこにキス。
「好き」と言って頬にキス。
「好き」と言って鎖骨にキス。
恥ずかしくなって途中で目を瞑ったけど、それだけじゃ足りなくて両手で顔を覆い隠した。
でもそんなものに意味はなくて、その手の甲にさえ「好きだよ」と甘く囁いた唇が触れる。
閉じていた目を開けて指の隙間から様子を伺うと、アーモンド型の瞳と目が合った。
顔を覆っていたはずの両手は、ふふっと柔らかく微笑んだ彼に掴まれてそれぞれ頭の横に縫い止められてしまう。
そのまま覆い被さるように顔が近づくから、
「手…離して?」
唇が重なって声が出なくなる前にそう言った。
そうすると彼は不思議そうな顔をして首を傾げる。
「だって…このままだと作ちゃんに触れないから…」
こんなこと言うなんて恥ずかしくて恥ずかしくて今にも顔から火が出てしまいそう。
「もう、顔見えないんだけど」
だから私は自由になった両手を彼の首に回すと、1ミリだって隙間が出来ないくらいぎゅっと抱きついた。
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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時:2019年1月13日 6時