明日も、君が。 ページ11
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地元の駅から電車を乗り継いで向かった待ち合わせ場所。
キョロキョロと辺りを見渡してみたけど彼はまだいないらしい。
たしかに待ち合わせ時間の10分前。
まだ来ていなくても仕方ない。
手持ち無沙汰になって鞄からスマホを取り出すと、アプリを起動させる。
ストーリーには友人たちの幸せそうな写真や動画が載せられていた。
美味しそうなオムライスを撮っているていで、向かい側に座る男の人を巧妙に写りこませるテクニック。
拡大しないと読めないくらい小さな字で何か書いてあるけど、どうせ惚気だろうと思って画面をタップして次へ送った。
みんな楽しそう…
トン…トン…と画面をタップして、次々に見ていく。
何度かそれを繰り返していると、突然視界が真っ暗になった。
「だーれだ」
いつもよりずっと低くてくぐもった声。
バレないようにわざと声を変えているんだろうけど、香りですぐに誰だかわかる。
「お…」と思わず出そうになった普段呼んでいる呼び名を飲み込んで、
「龍斗でしょ?」
まだ言い慣れない名前を呼んだ。
そうすると「ふふ、正解」って言葉と一緒に、目を覆っていた手が外されて柔らかな光が差し込む。
「よくわかったね」
「わかるよ」
わかる。…龍斗のことなら、なんでも。
だってもう何年一緒にいると思ってるの?
だからわかっちゃうんだよ、簡単に。
「それにこんなバカなことするの龍斗しかいないもん(笑)」
「バカなことって(笑)ひどいなー」
「フツー目隠しなんてしないでしょ」
「えー、でもなんかしたくなったちゃったし」
顔を見合わせてふふっと笑うとコツンって左手がぶつかった。
どちらかともなく指が絡まって、きゅっ…と繋ぐ。
当たり前のように繋がれた手。
当たり前のように繋いだ手。
それだけで幸せで、全身が、龍斗が好きだって叫んだ。
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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時:2019年1月13日 6時