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「なんで酒弱いってわかってて、こんなになるまで飲むわけ？」
私を家まで送り届けた作ちゃんは呆れたようにため息をつきながら水の入ったコップを差し出す。
「うるさいなー」
だって、飲まなきゃやってられなかったんだもん。
あれから結局私は、由真たちに捕まって逃げきれなくて浮所くんとのことを洗いざらい喋らされた。
シラフのまま語るなんてことできなくて、飲み続けた結果がこれだ。
飲んだことですっかり気分も良くなって2軒目にも行こうと思っていたのに、「ダメ」ってそれだけ言った作ちゃんに連行されて今に至る。
ベッドを背もたれにしてラグに座ると、受け取った水をちびちび飲んだ。
「あ、そう言えばさ、みーんな言ってたよ。作ちゃんかっこいいーって」
「ありがたいね」
「いいねー。モテモテだねぇ、作ちゃんは」
「はいはい」
「でもさ、作ちゃんってモテるのに彼女いないよね」
思い返せば高校時代も私の知る限り彼の周りに彼女らしき人はいなかった。
同じ高校で彼に告白した人は何人もいたけど、全員玉砕だったはず。
「今もいないの？」
「いないね」
「ふーん。…あ、好きな人は？」
「好きな人？…いないよ」
「なにそれー。つまんないのー」
「つまんないってやめて(笑)」
「だってつまんないもん(笑)」って笑った私に、「じゃあさ、そういうAちゃんはどうなの？」なんて作ちゃんが反撃してくる。
好きな人。
私の好きな人…
きっと時間が解決してくれたんだろう。
大学生になった今では、瑞稀くんのことはきちんと自分なりに昇華できていて「過去」にできていると思う。
でももしかしたら、私が分からないだけで、自覚がないだけで…まだ心の奥底に彼への想いが棲みついているのかもしれない。
また誰か傷つけてはいけない人を傷つけてしまうと思うと、臆病な心は恋から離れていった。
……そうすると、恋の仕方がわからなくなった。
「好きな人いたらこんな頻度で作ちゃんと会わないよね」
「ごもっとも(笑)」なんておかしそうに笑った彼は黒のトートバックを肩に提げる。
「じゃあ、俺帰るから」
作ちゃんとは2駅しか離れていなくて、終電が終わっても歩いて帰れる距離だ。
「戸締まりちゃんとしてね」
「わあってるぅー」
「呂律回ってないよ、酔っ払いさん(笑)」
「またね」と手を振って去っていく後ろ姿を、いつものように玄関で見送った。
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (
レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです！！！ (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです！！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった！ (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りゅりゅ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時：2018年11月19日 11時
