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「Aさんが俺のこと好きじゃないって最初からわかってた。他に好きな人がいるってことも……わかってた」
最初から隠せるはずなんてなかった。
少しの曇りもなくまっすぐな瞳で私を見つめてくれる彼の目を誤魔化すことなんてできるはずなかった。
それなのに私は自分がこの苦しみから逃れるためだけに、彼の優しさに甘えて、つけ込んで、傷つけて…
好きな人に振り向いてもらえないつらさを知っていたはずなのに…
最低だ、私。
「ごめ…」
「謝らないでください！」
声にしようとした言葉は、また途中で遮られて最後まで言えない。
「もし俺のことほんのちょっとでも、一瞬でも！いいなって思ったことがあるなら…謝らないで」
「飛貴くん…」
「Aさん、大好きでした。……ありがとう」
それからどうしたのか、記憶にない。
近頃は誰かと一緒に歩くことが多かった並木道を一人で歩いていると、ぽつりぽつり降り出した雨。
転んだわけでも、躓いたわけでもなく。
ただ、脚に力が入らなくて崩れ落ちるように、人気のないその場所でしゃがみ込んだ。
傘を持たない私の体に、強さを増した雨粒が激しく打ちつける。
雨に打たれたところで、こんなにも汚い心を今さら綺麗に洗い流すことなんてできないけど。
伝い落ちる雫と一緒に、せめて少しでもどうにもならない瑞稀くんへの想いが流れて消えてしまえばいいのに…と、心で願った。
どうしてなんだろう…
なにをしたって、どうしたって、誰といたって…
この想いは消えてくれないの？
「こんなところでなにしてんの？」
そんな言葉と一緒に、私の周りだけ雨が止む。
「ほら、風邪引くよ」なんて言いながら私の腕を掴んだ作ちゃんにぐいっと引っ張りあげられて、ひとつの傘の下で向かい合うように立った。
「Aちゃん…？」
「忘れたい…っ！瑞稀くんのことなんてっ…忘れたい…っ、」
それもこれも全部、全部、彼のせいだ。
私が恋できなくなったのは、あの日のあの言葉が解けない呪縛みたいに残っているせい。
「どうしたら忘れられるの…っ、」
「……無理しなくていい。大丈夫。瑞稀くんのこと好きでいてもいいんだよ」
彼はまた私に呪縛をかける。
それから彼は、雨に濡れて冷え切った体を私の体をあの日みたいに長い腕で包み込んだ。
それ以来、私に彼氏はいない＿＿
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (
レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです！！！ (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです！！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった！ (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りゅりゅ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時：2018年11月19日 11時
