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屋台が軒を連ねている賑わう場所から1本奥に入ったひとけのない路地裏で足を止めると、掴んでいた手を離す。
「バカだね、Aさんは」
作間くんが呆れたような声で言った。
「瑞稀くんのこと好きなのに紬に協力するなんて」
作間くんにはなにも言ってない。
私が瑞稀くんを好きなんて…彼にはひと言も言っていない。
彼だけじゃない。
だってこれは誰も知らない、誰にも知られてはいけない。
“私だけの秘密”
それなのに、なぜだか彼にはバレていて。
もう何度目かもわからないけど、やっぱり作間くんはエスパーだって思う。
「ほんとバカだよ」
「バカ、バカ言わないで…っ、」
わかってる。
バカだって、バカなことしてるって…そんなの自分が1番わかってる。
もしあの時、好きな人がいるって言っていたら？
もしあの時、紬に協力できないって言っていたら？
そんなたらればを今さら思ったって遅いのに…そんなことばかりを考えてしまう自分が心底嫌になる。
素直に祝えない自分が。
それでも彼女に会ったら「よかったね！おめでとう！」って笑って祝うであろう自分が。
嫌いだ＿＿
「…えっ……」
「よく頑張ったね」
そんな言葉とともに、自己嫌悪でいっぱいになった私を、長い腕がそっと包み込んだ。
「頑張ったよ、Aさんは」
耳から響く声が優しくて、
包み込む腕が、頭を撫でる手が優しくて、
「…っ、ぅっ、…」
涙が溢れる。
自分ではどうすることもできないほどの涙を隠すみたいにぎゅっと彼に抱きついた。
作間くんは小さな子どもをあやすみたいに、トン…トン…と一定のリズムで背中をさするだけで何も言わない。
「ねぇ、Aさん」
ずっと黙ったままの作間くんが口を開いた。
「いいんだよ。瑞稀くんのこと好きでいても」
それは今までで1番優しい声で、せっかく止まっていた涙がまた零れる。
高一の夏。
初めての恋と初めての失恋を経験した私は、作間くんの腕の中で花火が弾ける音を聞いた＿＿
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (
レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです！！！ (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです！！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった！ (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りゅりゅ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時：2018年11月19日 11時
