この恋の終わらせ方。〔完結〕

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スマホを見る。
花火がはじまるまであと5分。






「あー…なんか喉乾いちゃった」



そして、私はそう呟いて計画を実行した。

この計画は瑞稀くんと紬が二人きりになれるように、花火が始まる少し前に私と作間くんが席を外すというものだ。
昨日の夜に紬と電話をしながら、二人で立てた計画。






「飲み物買ってくるけど皆なんか飲む？」

「私お茶！瑞稀は？」


我ながら白々しくて下手くそな演技。
こんなのバレるんじゃないかって思ったけど、紬の援護でなんとか乗り切る。






「俺はいいや。てか、一緒に行くよ。危ないし」






…こういうところだよ。





さっきの射的も、いま一緒に行こうとしてくれるところも。

瑞稀くんの優しいところが好きだった。

大好きだった。







でも、今はその優しさが苦しい。

心はそのまま握りつぶされてしまいそうなほど痛い。


……その気がないなら、優しくなんてしないでよ。
勘違いをしてしまうから、そんなことはやめて欲しい。








「大丈夫！作間くん連れてくから！」

彼の手を取ると一瞬驚いた顔をしたけど、何かを察したみたいに「俺も喉乾いてたしちょうどよかった」なんて言う。





紬と目が合った。
彼女が小さく手を合わせて、“ありがと”と声を出さずに口を動かす。




また顔に笑顔を貼り付けて、無理やり口角を上げて微笑むと


「作間くん行こ！」


そのまま掴んだ腕を引っ張って、後ろは1度も振り向かないようにぐんぐん歩いた。


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