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テーブルの上に空いたお皿が増えてきた頃、「知ってる?」と作ちゃんがおもむろに口を開いた。



「瑞稀くん別れたんだって」

「知ってるよ。紬から聞いた」

「ふーん、やっぱり聞いてたんだ」



夏休みに入って少しした時、紬からの電話で別れたことを知った。

でも、この2人の破局は今回が初めてではない。
これまでにもすれ違いから何度か付き合ったり、別れたりを繰り返していた。


今回の破局の原因は紬が就職したことによるすれ違い。
ブライダルの専門学校を経てウエディングプランナーになった紬と、まだ大学生の瑞稀くん。

生活リズムはまるで変わってしまって、これまでのように時間を作ることが難しくなったらしく、「瑞稀のことを考える余裕がない」と紬から別れを切り出したらしい。





「ねえ、チャンスだよ?」

作ちゃんはメニューの載ったタッチパネルを操作しながら、私を見ずに言う。





「今なら瑞稀くん傷心中だし。案外コロっと落ちるかも」

「……最っ低。冗談でもそんなこと言わないで」


なにバカな事言ってるの?
冗談でもそんなこと言わないで欲しい。
もう今さら瑞稀くんとどうこうなれるわけもないし、なりたいとも思っていない。




「本気だよ、俺は」


作ちゃんが何を考えてるのか全然わかんない。
今さら?…なに言ってるの?

私の気持ちは?
私だってもう瑞稀くんへの想いはちゃんと過去へと昇華してるの…なのに、なんで今更また思い出させようとするの?

私が忘れたいって思ってるってこと1番知ってるのは他の誰でもなく作ちゃんのはずなのに……




意味わかんない…。





相変わらず彼はタッチパネルを見たままで、ちらりとも私に視線を投げなかった。




「来週瑞稀くんと会うんだけど、よかったらAちゃんも一緒に…」

「いいから!やめて!」

言葉と一緒に、ガンっとグラスをテーブルに叩きつけるようにして置く。






彼が好き勝手に発する言葉に、一向に交わらない視線に、苛立ちが募ってきて


「もういい!帰る!」


財布から五千円引っ張り出してテーブルに置くと、そのまま足早に店を出た。








当たり前だけど作ちゃんは追ってこない。







……もう、意味わかんない…っ、





治まらない苛立ち。

鼻の奥がツンとして唇を噛み締めないと涙がこぼれそうだった。


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作品ジャンル:恋愛
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- 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです!!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです!! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった! (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09  
作成日時:2018年11月19日 11時

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