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「今日はパンなんですか?」
「うん。今日は限定のフルーツサンドの日だからね!月に1回この日はパンって決めてるの」
たっぷりの生クリームと、苺にみかんに桃…なんてたくさんのフルーツが入ったフルーツサンドは、毎月第3月曜日にだけ販売される限定品。
甘党の作ちゃんに薦められて初めて食べた時から虜になって、数ヶ月。
いつしかこれが私の月に一度の楽しみになっていた。
「でも、今日は買えなかったからこれ」
「あっ!チョココロネ!!」
それでもやっぱり限定品で人気があるから、手に入らないこともしばしばで…今回はあと一歩のところで買えずじまい。
本音はフルーツサンドが食べたかったけど、どうしてもどうしても食べたかったけど、チョココロネも美味しいから今回はこれで我慢することにした。
「いいなー!美味しいですよね!!チョココロネ!!」
なんだかいつもよりテンション高く言った彼は「食べたいなー(笑)」ってニコニコ笑って言う。
そんなに好きなのかな…?
チョココロネ。
まあ、美味しいよね。うん。
なんて思っていると、
「…ということで。はい、交換しましょ」
目の前に差し出されたモノ。
「…フルーツサンド!」
それは今日私がずーっと求めていて、結局手に入らなかったものだった。
「偶然買えたんですけど、俺やっぱりチョココロネが食べたいなーって。チョココロネ見たら口がもうチョココロネの口になっちゃいました!だから交換しましょ?」
「いや、でも…」
浮所くんが持っていたことを知らなかったにしても、なんだかこんなの私が催促してしまったみたいで。
「はい」って彼はいつもの笑顔を向けてくれるけど、受け取れるはずもない。
「チョココロネ食べなきゃ俺死んじゃいます(笑)」
「そんなわけないでしょ……って、あっ!」
「もーらい(笑)」
私の手からチョココロネを奪い去った彼はそのまま走り出した。
3メートルほど離れたところで足を止めて振り返る。
「A先輩!落としちゃダメですよ!」
「えっ?あっ、ちょっ…!」
私が準備する間もなく彼の手を離れて、放物線を描きながら飛んでくるフルーツサンド。
慌てて出した両手でなんとか落とさず捕まえる。
その姿はきっと不格好だったのに、
「ナイスキャッチ!」
浮所くんは微笑んでくれた。
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです!!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです!! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった! (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時:2018年11月19日 11時