命懸け ページ19
その戦いはまさに命懸けだった。
赤毛の男……ビノールトという男は間違いなく人間の急所である目や胸を狙って武器であるハサミを振っている。
「ビスケ……これは何をしているところ?」
「命懸けの戦いをさせてるところだわさ。命懸けの戦いで得る経験値はなかなかのものだからねぇ。」
それにしても、ゴンとキルアのスピードが上がっているように見えるのは気のせいだろうか、これは私の勝ち目ないのでは。
「アンタも混ざってく?」
「遠慮しときます!!見学だけでお願い!」
こんな戦いの中に入ったら、一瞬で死んでしまう。私以外の人間が。
私がエリィから教わった技の性質上、限られた空間で人が動き回っているシチュエーションというのは実に瞬殺しやすいシチュエーションなんだ。
バトルの実況もなんだから、私が教わった技について説明してみよう。
長く目視も難しいほど細いが驚くほど頑丈な糸を使う技。これを聴くとマチを連想する人が多いかもしれないが、詳しく知れば知るほど全然違う技だ。
なぜならこの糸はよく切れすぎる程に切れてしまうから。この糸を包丁替わりに使って料理をしようもんなら料理台までもが野菜のようにスパッと切れてしまう。
故に捕縛などには全く使うことができない。
この糸に念を纏わせ、強度と切れ味を強化し、同時に操作する事で空間に糸を張り巡らせ糸に触れたものを斬り殺す技。
凝を使えば糸がどのように張り巡らされているのか見ることは容易だが、避ける事を許させないほど綿密に糸を張り巡らせたり、糸を操り見えない曲がる長いナイフのようにして使うことも可能な模様。
狭い空間の中で使うならばかなり強い技だ。
そして何故さっき私に勝ち目がないと思ったのか。必殺とも言えるほど強い技を身につけているのに負けを確信しているのかというと、私とゴンとキルアが試合をするとなると必ず付けられるルールがある。というかそのルールがなくても私はそのルールを自分の中で作りそれを遵守するだろう。
そのルールは『殺しはナシ。』
糸の性質上絶対に殺しても大丈夫な相手にしか使えないこの技は、ゴンとキルアと試合をする時には絶対に使えない技でもある。
そして基礎である体の能力は私は大きく劣っている。
……おわかりいただけただろうか?
このまま体が貧弱なままでは私に勝ち目はないのだ。
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作者名:碧色 | 作成日時:2016年11月28日 20時