一般人と特訓 ページ1
『…ッこの!!悪徳教師!!』
高専の敷地内、広い校庭のような場所で悲痛な叫びが響いた。ジワジワと暑い日差しの中、ダラダラと汗を滝のように流しながらひたすら飛んでくる呪具を弾いていく。刃先が保護されていないそれは、当たったら皮膚を切り裂いてしまうだろう。
目の前でケラケラと笑いながら呪具を投げてくる教師…いや、悪徳教師は五条先生。
「心外だなぁ、Aがいつ襲われても対処できるように特訓だよ」
『刀身剥き出しのままっ…!投げてくる人が!いますか!!いっ…』
「ほらほら、無駄口叩いてると刺さるよ〜!」
ピッと頬を小刀を模した呪具が掠める。ジリジリと痛む傷口を心配する間もなく次々と物が飛んでくる。ときには後ろから薙刀、勿論飛び道具以外は木で出来た訓練用のものだが、当たると悶絶するほど痛い。ざっと両手では収まらないほど当たったと思う。
「よし、お疲れ!じゃあ二十分後今のもう一回ね」
『殺す気か!!ほんとに痣になったらどうすんですか!』
ギャーギャーと当然の文句を投げかけると、ニマニマと口角を釣り上げる五条先生。ほんとにさっきから人の神経逆撫でするような行動ばっか取るなこの人
苛立ちと頬や体から流れる血、そして思い切り打たれた部位を庇いながら日陰でこちらを見ていた硝子さんの元に駆け寄る。唯一のオアシス、ひらひらと手を振っている姿は女神のようだった。できればあの無茶な特訓も止めてほしい
「派手にやってるね、こりゃ痛そうだ」
『あの人教師とは思えないくらいちゃんと狙ってくるんですよ…痛い、逃げたい』
「私もまさかAに対してここまでの特訓するとは思っていなかったよ」
『硝子さんもう戻りたくない〜!!普通の任務のほうが楽までありますよ…もう』
「コラ、硝子に泣きつかないの〜。上層部の奴らが渡す任務なら今の比にならないくらい強くならないと簡単にお陀仏だよ」
『だからといってスパルタすぎやしませんかね』
「今のAは呪詛師からも狙われやすい存在だからね、任務に行く途中でも警戒しないといけないのさ」
そのとおり!と反転術式で傷を癒やしてくれる硝子さんを指差す五条先生。人に指差すなって教わらなかったのかな。だからといって急にこんなスパルタな特訓を設けられたって、はいそうですかと受け入れられないし、なおかつ身体が追いつくはずがない。
ギシギシと体の節々が音を立てて痛む。特訓のために使っていた木刀はすでにボロボロで、所々木が捲れて刺さると危なさそうだ。もう使い物にならないであろうそれを握りながら、止まらない汗を拭った
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どどまる(プロフ) - 🍞さん» ありがとうございます✨スローペースの更新にはなると思いますが、楽しんで頂けるよう励みます🙌 (10月12日 19時) (レス) id: c4fbd224fc (このIDを非表示/違反報告)
🍞 - めちゃくちゃ面白いです!! これからも頑張ってください!!! (9月26日 16時) (レス) id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どどまる | 作成日時:2023年9月12日 5時