なんでもない僕のなんでもない日々の話。 (ページ3)

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一日目　4月2日　２ページ3

僕は今日、朝から酷く右手の甲が痛かった。

箸を使って食事をとるのも苦痛なほど、右手の甲が痛かった。

話は変わるが、うちでは一匹『若葉』という犬を飼っている。

今日は日常生活に支障が出るほど手が痛かったので、散歩には行かないようにしようと思った。

朝、親が家を出る前に「散歩は？」と聞くので、「手が痛いから…」と返した。

すると、「左手で行けよ～～」と言って、「ま、いいや。夕方は行けよ。」と言って彼女は仕事に行った。

その後は、読書をしたりして過ごした。

終わっていない宿題をやりたかったのだが、なにぶんペンすらもてないほど手が痛かったため。

まあ午後になれば親も帰ってくるわけで、17:00頃、親が部屋に入ってきた。

「散歩は？」

実を言えば未だに手が痛かったため行きたくはなかった。

「ちゃんと世話するって言って飼ったんだから世話しないんなら捨てるよ。
　朝だって、小学校の時より遅くなったんだから行きなよ。行けるでしょ。」

そんな言葉から逃げるようにして家を出て、若葉にリードを繋いで散歩道を歩き始めた。

歌った。一心に歌った。何も考えたくなかった。

それは脅しじゃないのか、朝が遅くなったからって準備することは増えたんだ。

…手が痛いとは、とてもじゃないけど言えたことじゃなかった。

もう人もいない田舎道で、立っていられなくなって座った。

左手で持っているそのリードは、意地でも離さないようにしながら。

いっそのこと、放してやろうかと思った。

この時間は車も通らない、うちの犬はリードを離せば一直線に家に向かって帰る。

ここでこの犬と、若葉と繋がれたこの一本の紐から手を離してしまおうかと。

そのまま叫びだしてしまいたかった。

正気を失っていたかった。いっそのこと狂ってしまいたかった。

周りの目が気にならないくらい、外に出られないくらい。

親にとって恥ずかしいような人になれば、一生外に出なくて済むかもしれない。

でも、優しく僕の左手を舐める愛犬を一生繋いでいたいとも思った。

僕はなんだろう、なんでもないってなんなんだろう。