あの日あいつは笑っていた【名探偵コナン】

8.見たことある目 ページ10

「俺の名前は明瀬光希。よろしくな！」


そう言って笑った男は酷く似ていたんだ。



あぁ、こいつは＿＿＿





＿＿＿＿＿＿数分前



うそだろ…。



さっきまでうざったいぐらいに晴れてた空も、今じゃ雲に覆われて土砂降りの雨が降っている。


そう、そんな憂鬱な日だったんた。



「おっ、ぼーずも雨宿りか？」



明るくて太陽見たいな笑顔で笑いかけてきたその男は、整った顔を自覚しているのか可愛らしく首をかしげた。


今考えてみればよく似ていたのかもしれない。



太陽みたいに明るい笑顔も、少しの仕草も。




「うん！僕ね、おねーちゃんが入院してるからおみまいに来たんだ〜！」



本当はお姉ちゃんじゃないけど、なんて心の中で呟いた。


ただ、どうやらこの言葉は目の前の男には禁句だったようで。


わかりやすく不機嫌になったそいつは眉間に皺を寄せ、死んだ目をしていた。


だからだろうか


「…おにーちゃんは、兄弟いるの？」


なんとなくの好奇心でそう尋ねてしまったのは。



わかりやすく肩を揺らし動揺を見せた男の目は惹き込まれるほど綺麗で、それでいて悲しげだった？



ああ、俺はこの目を知ってる



いつだってアホみたいに明るいくせして、人の目がなくなると酷く悲しい顔をする。頼って欲しいのに、いつだって溜め込んで心の中では泣いてる。




＿＿＿＿＿あぁ、こいつは





「そういやあ、自己紹介忘れてたな」






「俺の名前は、明瀬光希。よろしくな！」








数年前に消えた、あいつの弟だ。

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