第四十五夜：交渉 ページ49
巻物に夢中で全くこちらを見ない紅炎さんに痺れを切らしたのか、紅覇さんが苦笑いで声をかける。
「炎兄、侵入者連れてきたよ。もー、趣味に没頭するのはいいけど、一旦対応お願い。」
驚いたことに、重要書類だと思っていた巻物は単なる彼の趣味に関するものだったらしく、僕は昨日無駄に放置されただけだったのだ。これには流石に僕も頭の血管が切れるような怒りを覚えた。
同時にそれほどまで没頭する内容はなんなのか気になって、無礼承知で紅炎さんの手元の巻物を覗き込んだ。彼は僕の顔を怪訝そうに見つめたが、何も言わなかった。僕は最初の一文を読もうとして、違和感に気づいた。
だってコレはこのままではどうあがいても読めないもの。読めないように魔法がかかっているものなのだから。
「……ねぇ、これさ、なんでこのまま読んでるの？」
何故魔法を解いてから巻物を読まないのか、不思議で首を傾げて紅炎さんに話しかけたら、それを側で聴いていた男が声を荒げた。
「おい、貴様！ 紅炎様になんて無礼な態度を！」
無礼などと言われてもこの態度ばかりはどうしようもない。第一僕はこの国の住人でもないし目の前の人がどの様な身分なのか知らないだから、敬意を払う必要は無いと勝手に思ってる。
眉を釣り上げて僕に剣を向ける男をどうしようか迷っていたら、紅炎さんが男を手で制して立ち上がり、鬼のような形相でこちらに詰め寄ってきた。あまりの迫力に寒気がして後ずさるも、彼はどんどん距離を詰めてきて、僕は最終的に壁際へと追い込まれた。背中に感じる壁が冷たい。
「おいお前、この巻物について何か知っているのか？」
「え、えっと……それ、魔法がかかってるからそれを解かないと読めないよ。」
「何？ お前はその魔法、解けるのか？ 解けるのならさっさと解け！」
さっきは予想外の反応に不意を突かれてたじろいでしまったが、これはチャンスだと思った。
僕が今危険な状況にいるのは一番の武器と言える杖がないから。杖さえあればこんな国に長居する必要は無い。
「解けるけど、今杖を取り上げられててさ。返してくれるなら解いてあげてもいいよ。」
＊
それからの展開は何というか、呆気なかった。僕の頼みを紅炎さんは二つ返事で引き受け、更にこの煌帝国に侵入したことへの処罰をしないとまで約束してくれた。まぁこれに関しては免罪なので、当然といえば当然なのだが。
まだ剣と金属器はあちらの手にあるが、杖が手元に戻ってきた。
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えるふぃ(プロフ) - ブラピさん» １年前のコメントに返信失礼します。あわわ、面白いって言っていただけて光栄です！今から少し忙しさも減ってくるのでちょくちょく更新していきたいと思います！ (2018年8月29日 23時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
ブラピ - 小説とても面白いです！更新頑張って下さい！ (2017年8月6日 17時) (レス) id: 0c16c37c5e (このIDを非表示/違反報告)
SAAYA(プロフ) - 待ってます！！修正頑張ってください！！ (2017年6月8日 22時) (レス) id: d067831eff (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - SAAYAさん» SAAYAさん、すいません！まだ修正が終わってないのでパスワードをお教えできません。part１が終わるまで、もう少しの間お付き合いくださいませ。 (2017年6月8日 21時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - giftさん» giftさん、すみません！part２はまだ修正が終わってないので非公開にしています。まだまだpart１も続きますのでもう少しお待ちください。 (2017年6月8日 21時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2013年12月28日 23時
