w/r/w/r/d さん達のBL集！ぱぁと7

β.魔術書にないはずの呪文 utsha【3】 ページ10

shaside

二人きりのときにそんなこと言うとか、ひどいにも程があるやろ。
俺、知ってんねんで。
その「好きだよ」はどうせ「友達として」やろ？
それでも、こんな状況で好きとか言われたらちょっと期待したくなるやん。
……なんて、じっとしていたら思っていることが溢れてしまいそうで、せめてもの抗議にと
大先生の頬にも指をグサッと突き刺すと、グラスに入っていたジュースを一気に飲み干し
た。
すると大先生は、ジュースのボトルをこちらに差し出しながらふっ、と微笑んで。

「ちゃうよ、おもちゃになんかしてへんやん？」

「……じゃあ、何なん？」

本当に、何なんや？
俺の事弄んでるわけじゃないなら、一体。
なんか企んでんのか？
グラスにジュースを注ぎながらじとりと睨むけれど、大先生はまだ笑っている。

「ほんまに、シャオちゃんは可愛ええなーって思っただけやで？」

柔らかい微笑み。
春の陽気みたいな甘い声色。
……こんなん、分かってても勘違いしてまう。
まだ期待しててもええんかな、なんて、錯覚してまうやんか。
それは愛なんかじゃないって分かってても心が満たされてしまって、それと同時に恐ろし
いほどの虚無感に襲われて、堪らずため息をついてしまった。

「……あほくさ。」

お前の一言で、こんなに感情がぐちゃぐちゃになるなんて。
分かってるのに踊らされてるとか、ほんまにあほくさいわ。
お前のせいやからな、という気持ちを多分に込めてジュースのボトルで強めに肩をしばく
と、

「いっっっったぁ…！？シャオちゃんこれ鈍器！！鈍器やから！！」

とか言って肩を押さえて悶えだした。
俺を弄んだ罰や。
お前はそうやって騒いどったらええのに、変な事言うから。

「うっせ、ばーか。」

もう変なこと言わんとってくれよ。
念を押すように毒づいてローディングが終わったゲームのコントローラーを操作しだすと、
大先生は悶えた姿勢のままがくりと項垂れた。
ほんま、人の気も知らないで。
もうそろ俺も限界や。
次やったら、宣戦布告と取るからな。
「俺も好き」
とか言って、お前を困らせてやる。
そっから、戦争始めようや。
俺を本気にさせたらどうなるか分からせてやんよ。
お前に「I love you.」言わすまでやり合ったるわ。
ほら、魔術書にはない呪文で殴り合おうぜ。
やけくそになったように戦う覚悟をし、俺は【GAME START】のボタンを押した。

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