続き ページ38
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shaside
珍しく二人だけの時間が続いたからか、自然と繋がっていた世間話が致し方なく途切れて厭に静かになってしまう。
ちらり、と一瞬彼の様子が気になり目を見やれば偶然にも彼と目がばっちりと合ってしまい二人で同時にまた目を反らした。
それに反比例するように自分の一つ一つの動作の音がやけに大きく聞こえてくる。
少し急いでいたからか、切れてしまった息。着ている服が歩く度に擦れる乾いた音。彼と偶然テンポが重なってしまっている足音。そして、どくどくと脈打つ自分の心臓の鼓動。
いつもならそんなに気にならないのに、僅かな音さえ気に障る。
「シャオロン。」
いつもより、少しだけ改まったような声色。彼に名を呼ばれることくらいは別に慣れているつもりだったが、何故か驚いてしまった。
「…勘違いやったら悪いんやけどさ。」
彼にしては珍しく、口ごもり声量が減衰していく。
そんな彼につられて、俺も声を出すことを忘れてただ頷いた。
「何かはよく分からへん、というか言えへんのやけど俺とシャオロン最近『似てる』気がすんねん。」
あまりにも大雑把な彼の言葉だが、何がどうなったのか、俺の中にすとりと足りなかったピースが嵌ったように腑に落ちた。
しかし、一体何故それがそうなのかも分からない。
「そお?」
俺は、どう返せばよいのか分からずはぐらかすようにそう言った。
彼は小さく「うん」と返すと何事もなかったかのように、違う話題に話を転換させる。
そんな彼が何故かいつもより近くに見えた。
「とりあえず早くインターホン鳴らしにいこうや。トントンからもうこっちは終わったって来たで。」
「せやな。」
完全に夜が明け緋色に染まる空が、まるで俺の心内を見透かすかのように二人を照らしていて少しだけ安心した。
もうすぐ見えてきた見覚えのある家に、俺は気を紛らわそうと小走りで向かう。
それにつられるように彼も俺がペースを速めているのに気づいて、ゆっくりと走り出し、いつの間にか二人で家までの競争が始まっていた。
…ったく、一体あれはなんやったんやろうか。
そんなこと思っていた筈なのに走っていたら、すっかりそんなこと頭から抜け落ちて、ただ二人で笑っている。
ちょっとの差で先についてしまった彼の余裕そうな表情に俺は顔を少しだけしかめた。
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スイコン - 私もsha受け大好きです!小説かけるのが凄すぎるのであこがれます(*´ω`*)これからも更新待ってます! (3月9日 9時) (レス) id: 101a9efed5 (このIDを非表示/違反報告)
あーちあ(プロフ) - みんな大好き保存箱さん» わ、同志の方ですか…?そうなんです…好きすぎて辛い…。お話のシチュ、僕の性癖なんで同じ性癖ですね!← sha総受けですね?久しぶりに総受け書くので不安ですが、了解しました! (2023年2月6日 22時) (レス) id: c941e8c409 (このIDを非表示/違反報告)
あーちあ(プロフ) - ただの人さん» そうなんですよ…!二人共可愛いというイメージがあったので、そこから抜け出せなかったです…!喜んでいただけて良かったです!! (2023年2月6日 22時) (レス) id: c941e8c409 (このIDを非表示/違反報告)
みんな大好き保存箱 - (ut×shoいいですよね…お話のシチュめちゃくちゃいいし………)………リクエストよろしいですか?……sho総受けが少なすぎて地底を這いつくばっているんです。 (2023年1月31日 21時) (レス) id: fe795c33ba (このIDを非表示/違反報告)
ただの人(プロフ) - リクエストの方ありがとうございました…🥹いやマジでやっぱショッピくんもだいせんせーも可愛いですよね…うつしょぴの供給ありがとうございます…ごめんなさい、しばらくサイトを開いてなかったので更新に気付けず…こんな素敵なお話ありがとうございました! (2023年1月14日 17時) (レス) @page22 id: 28d0277656 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーちあ | 作成日時:2022年9月19日 18時