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変化とはつまり恐怖だ。
国を導く国家元首、国の行く末を見守る観測者。
国そのものである、国家の化身。
国に関わる者は、その意味を正確に推し量ることができる。
国家の化身、国家そのものに相当する存在は、いつの時代も一般人のような身体の変化はない。化身や国の長が衰えることは元来ありえないし、変化しないことが世の常である、はずだった。
しかしながら。
一国の化身が消失したこと。それを皮切りに、次々に国からは化身が消えていった。国自体はそこに在るのにもかかわらず。
国が、象徴が滅んだ。その事実は民衆の心に恐怖を植え付け、次第に世界を呑み込んでいった。
化身は国家の状態に引っ張られる。
国民が恐怖を強く感じたとき、その感情は、化身へも
「……ははっ」
ずっと、怯えていた。
その結果がこれだ。
だんだんと透けてくる己の身体、痛みが蔓延る肉体、脆弱になった精神。
自分はNo. 1だから、HEROだから。世界がどんな状況になっても弱きを助けることが自分の役目だ。そう、信じて疑わなかった。
この手からひとつ、滴がこぼれ落ちたことを知るまでは。
「カナダ」
あの善良な優しい隣の国は、民衆の恐怖の感情が溢れ出したことで消滅した。
そしてまた、彼を弟のように思っていた愛の国も、彼の後を追うように消失した。
かつて家族のように暮らした者の中で、遺っているのは自分と兄だけ。
もし、俺がこのまま死んだなら、彼は泣くだろうか。兄三人を失った彼は。
この無情な世界に神と呼べる存在がいるのならば、神は
───かつて兄弟と呼ばれた国達の中で、遺されたのは誰だ？
「……そうだ」
そっと目を開ける。寒々しい風景が広がっていた。
「イギリス、と」
自分の身体がだんだんと見えなくなってくる。
「日本」
刹那、逆らえない大きな予兆を感じて瞠目した。
「せいぜい悲しんでくれよ……
その日、また一人。国の化身が滅んだ。
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蟻。 - 三六 月さん» すみません！うわ、今気づきました…。ご指摘、ありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年12月6日 21時) (
レス) @page1 id: 7989c22791 (このIDを非表示/違反報告)
三六 月(プロフ) - 初コメ失礼します！とても、面白いです。あの、ルビ振りの所が気になったんですけどしてる方以外は消した方がいいかもです...そういうものでしたらすみません！更新頑張ってください！ (2022年12月6日 20時) (レス) @page2 id: c56d0b069e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蟻。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年12月6日 16時
